猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アンダーカレント

2024-05-04 21:49:20 | 日記
2023年の日本映画「アンダーカレント」。

かなえ(真木よう子)は稼業の銭湯を継いで、夫・悟(永山瑛太)と順風
満帆な日々を送っていたが、悟が突然失踪してしまう。かなえは途方
に暮れるが、一時的に休業していた銭湯を再開させる。それから数日
後、かなえは銭湯組合を通じて訪ねてきた堀(井浦新)という男を住み
込みで雇うことにする。探偵の山崎(リリー・フランキー)と共に悟を
捜しながら、堀との日々に心地よさを感じるかなえ。しかしある出来
事をきっかけに、かなえ、悟、堀が心の奥底に秘めていたものが浮か
び上がる。

豊田徹也氏の漫画を「窓辺にて」の今泉力哉監督が実写映画化した人
間ドラマ。かなえは父が亡くなり、稼業の銭湯を継ぎ、夫・悟と幸せ
な日々を送っていた。ところがある日、悟が突然失踪してしまう。か
なえは途方に暮れながらも、一時休業していた銭湯の営業をどうにか
再開させる。数日後、堀という謎の男が銭湯組合の紹介を通じて現れ
る。かなえは堀の履歴書を見て、いくつもの資格を持っていることに
驚き、銭湯ではなく他のところで働くことを勧めるが、堀は是非雇っ
て欲しいと言う。住み込みを希望されるが、住み込みを雇っていたの
は昔のことであり今は部屋がないと言うと、アパートが見つかるまで
休憩室に泊めて欲しいと言い、かなえは堀を雇うことになる。
かなえは友人に紹介された山崎といううさんくさい探偵に悟の調査を
依頼する。それによって見えてきたことは、悟の様々な嘘だった。静
かに進んでいく映画である。かなえ、悟、堀はそれぞれに隠している
ことがある。かなえの場合は隠しているというより、あまりにも辛い
出来事だったために自分で記憶を消していたというのが正しいだろう。
そういうことってあると思う。
悟は虚言癖の持ち主だった。嘘に嘘を重ね、嘘が気づかれそうになる
とその相手とは関係を切る、という人生を送っていた。虚言癖の人っ
てそうなのだろうな、と思った。マズくなったら関係を切るしかない
だろう。悟のしたことは結婚詐欺に近いのではないかと思ったが、金
を騙し取った訳ではないので詐欺には当たらないのだろうか。でもか
なえを騙して結婚し、ある日突然失踪なんてひどすぎると思う。かな
えは「悟にとって私は何でも話せる相手ではなかったんだ」というこ
とを知り、落ち込む姿はかわいそうだった。
真木よう子と井浦新の演技が良かった。リリー・フランキーのうさん
くささもいい。堀とタバコ屋のおじいさんとの会話はとても良かった。
けれども堀の正体はわかるものの、何故かなえに近づいたのかが今ひ
とつわからない。恨みという訳ではなさそうだし、とにかく会いたか
ったのだろうか。いい映画だと思うが、この物語で143分は長すぎる
と思った。ラストシーンはほっとするが。「アンダーカレント」とは
「1. 下層の水流、底流 2. (表面の思想や感情と矛盾する)暗流」と
いう意味だそうだ。物語に合ったタイトルだと思った。



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2 コメント

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いい湯だなぁ…の銭湯(^^♪ (ウラジーミル・アスポン)
2024-05-08 01:20:31
「アンダーカレント」は、あんまり漫画原作という感じがしない話ですね。
銭湯が話の舞台なんですね。

稼業の銭湯をやっていたかなえは、夫の悟と暮らしていたけど突然の夫の失踪で、人員が足りず、銭湯を休業せぜるを得なくなったんですね。
従業員の給料を払うのも経費がかかって勿体ないけど、このまま休業し続けるとお金が稼げなくて大変ですね。
そこで、新しい授業員を補充する事にしたんですね。

銭湯組合の紹介で堀を雇う事にしたんですね。
資格を結構、持っているのに銭湯で働きたいという堀は、ちょっと怪しい感じもします。

今時、住み込みを希望なんですね。
掘は、宿なしなんですね。
掘にアパートが見つかるまで
休憩室に泊める事にしたんですね。

失踪した夫の悟の事は、警察でなく、探偵にお願いして探しているんですね。
探偵の素行調査によると、悟には過去が色々あったんですね。
嘘に嘘を重ね過去にも嘘が破綻すると、関係を切って逃げて、色んな女を捨てているんですね。
主人公かなえは結婚までしたのに、悟に捨てられたので、他の女達よりも酷い目に遭っていますね。

金をだまし取ってないけど、ある日、突然、失踪するとは、結婚に対する裏切り行為です。
ちょっと結婚詐欺ですね。

でも夫のいない空白を埋めるようにやって来た新しい従業員の掘との日々で、夫に蒸発された傷も癒えそうですね。

掘とかなえが恋愛関係に発展するんでしょうかね。
発展までしないけど、心に少しほのかな炎がともる感じなんでしょうか…。
掘の正体って…銭湯組合の紹介でやってきた従業員というだけでなく、かなえが気づいてないだけで、かなえと過去にちょっとした知り合いで、かなえに会いにきたんでしょうか…?
Unknown (杏子)
2024-05-08 15:24:02
>ウラジーミル・アスポンさん
コメントありがとうございます。私も漫画原作という感じじゃないなと思いました。

夫が突然失踪して困っていたところに堀という謎の男がやって来ます。
堀の正体は少しずつわかってきます。

夫のことはもちろん警察にも届けていますが、かなえの友人が探偵の知り合いがいると言って、
そちらにも依頼します。
探偵の「失踪した人は大抵見つからないんですよ」という言葉が印象的でした。
事件に巻き込まれたとかではなく、自分の意志で失踪した人って
そんなに見つからないものなんですね。

虚言癖の人っているんですね。嘘に嘘を重ねていたら、嘘がバレそうになったら
相手と付き合いを切るしかないでしょうね。
夫の悟も、今まで女だけでなく色んな人との関係を断って生きてきたんでしょうね。
かなえのことは結婚までしてるのだからひどいですよね。
結婚詐欺に近いと思います。

かなえと堀は恋愛関係まではなりませんが、堀と過ごす日々によって
かなえの気持ちは落ち着きを取り戻していきます。

おっしゃるように堀はかなえが気づいていないだけで、かなえが子供の頃の
ちょっとした知り合いです。堀はある理由からかなえに会いに来たのです。

全体的にゆっくりと流れる、悲しい物語でした。

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