猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ブラッド・チェイサー 呪術捜査線

2023-10-18 22:02:09 | 日記
2022年のアメリカ映画「ブラッド・チェイサー 呪術捜査線」。

イタリア・ローマ。夜の街を全力疾走する男。彼を追跡する刑事の
銃撃にもひるまず、立ちはだかる警官を刃物で瞬殺し、その男は闇
に消えた。アメリカ・ミシシッピ州。若者が犠牲となる連続誘拐殺
人が発生する。遺体は体の一部が切り取られていた。殺人課の刑事
ボイド(コール・ハウザー)は捜査を開始。しかし、事件の異様さか
ら捜査は難航。遺留品からアフリカが関係しているとみたボイドは、
アフリカ民俗学の権威マックルズ教授(モーガン・フリーマン)に協
力を要請する。マックルズ教授の知見から、これらの殺人が呪術の
ためのいけにえの儀式であることを突き止める。そして、イタリア
の刑事からヨーロッパでも同様の事件が起きていることを知る。

サスペンスだが、ホラーやオカルトの要素もある。イタリアのロー
マで黒人の男が刑事たちに追われるが、警官を刃物で殺害し、その
まま姿を消す。一方アメリカのミシシッピ州では、10代の若者が
犠牲となる連続誘拐殺人事件が発生。1人目の被害者は10代半ばの
白人の少女で、刃物で両手、性器、両目、まぶたを切り取られてい
た。2人目の被害者は10歳くらいのヒスパニック系の少年で、同様
の手口で体の一部を切り取られていた。しかも少年の遺体が発見さ
れた現場近くで、釣りに来ていた男性の遺体が発見された。男性は
生きたまま心臓を抜き取られた後、手早く喉を切られて殺されてい
た。
少年の殺害現場には祭壇があり、その壁には謎の文字が残されてい
た。また、現場からは純金を粉状にしたものや、アフリカ原産のル
イボスという植物などが見つかる。これらの遺留品から、アフリカ
が関係しているとみたボイドは、アフリカ民俗学の権威であるマッ
クルズ教授に協力を要請する。マックルズ教授は、犯人は祈祷師で、
これらの殺人は「ムーティ」という呪術の儀式によるものだと突き
止める。
ムーティとは原題にもなっている「Muti」のことで、ズールー語で
人の肉体を使って治療する呪術のこと。ムーティは戦士にパワーを
与えるための儀式でもあった。祈祷師、まじない師、呪医と呼ばれ
る者たちは古来からムーティを行ってきた。そして成功を求める者
たちがムーティに金を払う。こういうことが現代でも行われている
のってゾッとする。成功を求めてアルビノの人たちの体が切り取ら
れるというのも聞いたことがあるが、同じようなものだろうか。ア
フリカって野蛮なんだなあ、と思う。
犯人は割とすぐにわかる。バーでアルバイトをしていた女子医学生
の証言で、犯人はランドク(ヴァーノン・デイヴィス)という黒人の
男だった。実はこの女子医学生も狙われていたのだった。ランドク
は目が美しく知的で将来有望な若者に目をつけていた。そういう人
の体を使う方がパワーが出るのだろうか。警察に追われ、女子医学
生を諦めたランドクはまた別の女子学生に目をつける。モーガン・
フリーマンが出演していることと、連続猟奇殺人事件ということで
セブン」みたいな映画なのかな、と思ったが、「セブン」の足元
にも及ばないちょっとB級っぽいサスペンスだった。それでもボイ
ド刑事が抱えている心の傷や、モーガン・フリーマンの重厚な存在
感によってなかなかおもしろく観られた。ラストはびっくりする。



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コメント (2)
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