猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

エジソンズ・ゲーム

2021-01-26 23:01:36 | 日記
2019年のアメリカ映画「エジソンズ・ゲーム」。

19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球
の事業化に成功した発明家のトーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッ
チ)は、大規模な送電には直流が適していると考えていた。だが実業家のジョー
ジ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、交流の方が安価で遠くまで
電気を送れるとして、交流式送電の実演会を開いて成功させる。それを知ったエ
ジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工
作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していく。

天才発明家トーマス・アルバ・エジソンの半生を描いた伝記映画。マーティン・
スコセッシやベネディクト・カンバーバッチが製作総指揮に参加している。原題
は「The Current War(電流戦争)」。エジソンと実業家のウェスティングハウス
との直流、交流を巡る戦いが物語のメインである。私は無茶苦茶文系人間なので
よくわからないところもあったが、おもしろかった。発明家のエジソンは大統領
からの仕事も平然と断る傲慢な男である。エジソンが変人だったというのは有名
だが、傲慢だったというのは本当なのだろうか。この映画を観ているとエジソン
は結構嫌な奴である。妻を深く愛していたりと人間味のある面も描かれているが。
その妻を若くして亡くしたシーンは悲しかった。
電気が開発され普及した過程が興味深かった。他にも発明家はいたようだが物語
は主にエジソンとウェスティングハウスの確執と敵対に絞られている。こういう
映画を観るとやっぱりアメリカって昔から大国なんだなあと思わせられる。ベネ
ディクト・カンバーバッチの演技はいつものように素晴らしい。アメリカ人のエ
ジソンをイギリス人俳優のカンバーバッチが演じていて、カンバーバッチはやっ
ぱりイギリス紳士そのものなのだが、それでもとてもいい。直流や交流がわから
なくても(私だけ?)カンバーバッチの演技を観られるだけでも映画を観た価値が
あるというもの。
エジソンは「人を殺す道具は作らない」という信条を持っていた。それなのに結
局彼の発明が処刑道具である電気椅子の開発につながってしまったのは皮肉なも
のである。マスコミに叩かれ、エジソンもとても辛そうだった。文明の発展の裏
側には発明家たちの努力や苦労だけでなく不本意な思いや悲しみもあったのだな
あと改めて思った。初めて電気椅子で死刑が執行されるシーンはショッキングだ
った。
それにしてもエジソンとウェスティングハウスは旧知の仲なのにもう少し仲良く
することはできなかったのだろうかと思った。お互いに「電気が未来の社会を作
る」という信念や目標は同じだったのに。私はラスト近くでのシカゴ万博で2人
が話すシーンが好きだ。ウェスティングハウスがエジソンに語りかけたことはそ
ういうことだったのだ。協力し合うことが大切なのだと、直接的ではないが言っ
ている。それに対してエジソンが「話せて良かった」と言うのも良かった。エジ
ソンはその後映画の開発もしたのだという。私たちが今映画を観られているのは
エジソンのお陰なのだと思うと感慨深い。


なんとなくふんばっている感じのベル。







ベッドを押し押し、ぎゅっぎゅっとしているノエル。

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする