猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

オテサーネク

2018-08-18 19:33:03 | 日記
2001年のチェコ映画「オテサーネク」。

不妊に悩むホラーク夫妻は、アパートの隣人シュタードレル氏(パヴェル・ノヴィー)の
勧めで購入した別荘にやってくる。夫のカレル(ヤン・ハルトゥル)は別荘の庭で赤ん坊
のような形をした切り株を見つけると、ノイローゼの妻ボジェナ(ヴェロニカ・ジルコ
ヴァ)を慰めるために切り株を赤ん坊の形に整えてプレゼントする。ところが、ボジェ
ナはそれを息子と思いこんで溺愛し、自分が産んだと見せかけるために妊娠したように
振る舞うようになる。カレルは何度も切り株を処分しようとするものの、結局は妻の望
みを聞いてやってしまう。そして8ヵ月が過ぎた頃、ボジェナが出産したふりをすると、
「オティーク」と名付けられた切り株は自らの意思で動き出し、恐ろしい食欲であらゆ
るものを食べ尽くし、人間までもを食べるようになる。

ダーク・ファンタジーというかホラー映画というか。とてもおもしろかった。私はフラ
ンス映画が1番好きだが、東欧の映画の雰囲気も暗くていいなあ。この物語、夫がおか
しなことをしたばかりに不幸が訪れたのだと思う。いくら不妊に悩んでノイローゼにな
っている妻のことを思ってとはいえ、切り株をあげるだろうか、普通。そしてそれを我
が子と思い込んでかいがいしく世話をする妻の異常さ。狂っている。夫は後悔して何度
も切り株を捨てようとするが、妻が反対するので妻の言うことを聞いてしまう。真っ白
なベビー服を着せられ、ベビーカーに乗せられた切り株の姿は本当に異様だ。しかも周
囲の人たちが気づかないのもまたすごい。
ただ1人、隣のシュタードレル夫妻の娘のアルジュビェトカ(クリスティーナ・アダムコ
ヴァ)だけは「オテサーネク(食人木)」の民話を読んでいたので、オティークの存在に
気づく。オティークが人間まで食べてしまうようになったので、ホラーク夫妻はさすが
に困って、アパートの地下室にオティークを閉じ込めるのだが、アルジュビェトカはオ
ティークを弟のようにかわいがり、こっそりと世話をする。アルジュビェトカは元々き
ょうだいが欲しかったのだ。何というシュールな映画だろう。
シュタードレル家の食事がいつもまずそうなのもこの映画の特徴である。大体スープか
シチューみたいなものとパンだが、それが本当にまずそうなのだ。どうしてそういう演
出にしたのだろう。そして娘のアルジュビェトカが全然かわいくない。美少女を起用し
なかったのも食事がまずそうなのも、不気味さを強調するためなのだろうか。
チェコに「オテサーネク」という民話は実際にあるそうだ。恐ろしい民話だなあ。こう
いうシュールな映画は大好物である。




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コメント (2)
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