猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

パンズ・ラビリンス

2015-07-27 05:12:02 | 日記
2006年のメキシコ・スペイン・アメリカ合作映画「パンズ・ラビリンス」。
スペイン内戦で父親を亡くした少女オフェリア(イバナ・バケロ)。彼女は妊娠中の
母親と共に、母の再婚相手であり独裁政権軍で大尉を務めるヴィダル(セルジ・ロペス)
に引き取られ、森の中にある軍の砦に移り住む。レジスタンス掃討を指揮する冷酷な
ヴィダルは、生まれてくる自分の子だけを気にかけ、母親もヴィダルの意向ばかりを
うかがうため、オフェリアは顧みられない。オフェリアの相手をするのは砦の家政婦
であるメルセデス(マリベル・ベルドゥ)だが、彼女の弟はレジスタンス運動に身を投
じており、メルセデスは大尉の目を盗んでこれに協力していた。砦での暮らしはオフェ
リアにとって重苦しいものとなっていき、彼女の心は現実から妖精やおとぎ話の世界へ
引き込まれていく。

ダーク・ファンタジーとは聞いていたが、相当にダークでグロテスクな映画だった。
主人公の少女(11~12歳くらい)はかわいかったが、とてもかわいそうだった。母親
があんな独裁主義の軍人と再婚しなければ、不幸にならずにすんだのに。父親を
亡くしているので、また別の不幸はあったかもしれないが。大尉はオフェリアだけで
なく、母親にも冷たい。子供(男の子と何故か確信している)さえ無事にうまれてく
れればいいのだ。
オフェリアは大人ばかりの暮らしの中で孤独になっていくが、ある時妖精が現れて、
「あなたは地底の王国の王女様だ。王女であると確かめるには3つの試練を果た
さなければならない」と言い、オフェリアはその3つの試練に挑む。
映像が、暗く怖いけれど不思議な美しさがあって、とても良かった。オフェリアの3
つの試練も怖くてハラハラするが、現実世界も怖い。冷酷な義父は村人を殺したり、
レジスタンス運動のメンバーを捕らえて拷問したりする。少女が心安らかに暮らせ
る環境ではないのだ。オフェリアがおとぎ話の世界に引き込まれるのも仕方がな
い。そうでもしなければ、生きていられないのだ。オフェリアは、幸せになったのだ
ろうか。幸薄い少女の、かわいそうな物語だった。



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コメント (2)
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