猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

オリヴィエ オリヴィエ

2015-06-19 03:10:21 | 日記
1992年のフランス映画「オリヴィエ オリヴィエ」。
フランスの田舎町。獣医の夫・デュヴァル(フランソワ・クリュゼ)と専業主婦の妻・
エリザベト(ブリジット・ルアン)の間には、娘のナディーヌとその弟で8歳になるオリ
ヴィエという2人の子供がいた。エリザベトは異常なまでにオリヴィエを溺愛していた。
ある日オリヴィエが行方不明になり、警察も彼を見つけられなかった。エリザベトは
半狂乱になり、家庭は崩壊していき、この事件は担当刑事の心にも強く残った。事件
から6年経ったある日突然、パリに転勤していた刑事から、オリヴィエ(グレゴワール・
コラン)らしき少年が見つかったという電話が、エリザベトの元にかかってくる。

ミステリーであり、人間ドラマでもある、とても見応えのある映画だった。8歳の子供が
失踪し、家庭は壊れていく。息子を溺愛していた母親は精神的にひどく参っててしまい、
衰弱していく。夫や娘の言葉にも耳を貸さなくなり、いたたまれなくなった夫は家を出て
いく。そして母親と娘の2人の暮らしが始まる。
子供が行方不明になれば、どこの親でも嘆き悲しむだろう。だがこの母親は元々息子
を異常な程溺愛していたので、その悲しみようも尋常ではない。その様子は観ていて
少しいらついた。もし失踪したのが娘であれば、ここまで衰弱しただろうか。そしてその
娘は、母親が弟を溺愛していたのを知っていたので、弟がいなくなった悲しみもあるが、
これでやっと母親を独占できる、という期待も持っている。
それから6年経って、オリヴィエらしき少年がパリで見つかったという突然の知らせ。母
親はすぐにパリへ行き、少年と対面する。しかし6年の間に顔も変わり、自分より背が
高くなった少年を、本当に息子なのか自信が持てない。それでも母親は少年を自宅に
連れて帰る。父親も戻ってきて、夫婦は少年をオリヴィエだと確信し、大喜びする。け
れども姉のナディーヌだけは信じず、少年に冷たく当たる。
この映画は、母親と子供、父親と子供、夫婦、姉弟、といった家族関係のあり方に焦
点を当てており、考えさせられる。まず母親が何故あんなに息子を溺愛していたのか
がよくわからない。その母親の態度ゆえに父親と娘は不満を感じていて、既に家庭
崩壊が始まっていたという気もする。
俳優は皆良かったが、特にオリヴィエを演じたグレゴワール・コランが素晴らしい。こ
の人の映画は何本か観たが、本当に凄い演技力。物語のラスト近くで、少年が本物
のオリヴィエかどうかは判明するのだが、ラストは驚きに値する。



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コメント
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