猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

黒いスーツを着た男

2013-11-22 04:47:38 | 日記
フランス映画「黒いスーツを着た男」を観にいった。
自動車ディーラーに勤務するアラン(ラファエル・ペルソナ)は、修理工から地道に努力して
出世し、社長に気に入られ、ついには社長令嬢との結婚を10日後に控えていた。
しかし深夜パーティで羽目を外して酒に酔い、パリの街角で運転中、男性をひいてしまう。
あわてて車から降り、呆然となって倒れている男を見るが、同乗していた同僚たちに促される
まま逃走してしまう。
だがその一部始終を、医者志望のジュリエットがアパルトマンのバルコニーから偶然見ていた。
ジュリエットは現場へ行き、すぐに救急車を呼ぶ。
被害者の容態が気になったジュリエットは翌日病院へ行き、昏睡状態の被害者の妻ヴェラと
出会う。ヴェラはジュリエットが通報してくれたことに感謝する。ヴェラと夫はモルドヴァ
共和国からの移民で、不法就労者だった。
一方アランも出社したものの良心の呵責に耐えかね、被害者の容態を確かめるために病院へ
行き、昏睡状態の男を見てショックを受ける。更にアランは、新聞に事故の目撃者がいると
書かれていたことも気掛かりだった。
この時、アランを見かけたジュリエットは、運転していた男の顔は暗くて見えていなかった
ものの、その姿に犯人であると確信し、アランの後を追う。

久し振りのフランス映画、おもしろかった。アランは悪い男ではない。人をはねてしまったが
結婚式を10日後に控えていることもあり、同僚たちに逃げることを促され、そのまま逃走して
しまう。心の中は罪の意識でいっぱいで、仕事も手につかない。その心情をラファエル・ペル
ソナがとても細やかに表現していた。
意識不明の被害者とその妻は不法就労者であり、この映画はフランスの移民の問題をも浮き彫り
にしていると思った。モルドヴァ共和国なんて私は初めて知った。
でもジュリエットのとった行動は理解に苦しむ。「全てを失ってしまう」とアランに懇願された
からとはいえ、結果としてアランをかばってしまったのだ。心細いヴェラはジュリエットを
信頼し、親しくなっていくが、そのヴェラを裏切る行為だ。もちろんジュリエットもそれは
わかっているのだが。
ジュリエットが事故を目撃しさえしなかったら、ジュリエット、アラン、ヴェラの人生が関わり
合うことはなかった。偶然の出来事が人々の人生を狂わせていく。フランス映画はこうでなく
ちゃ。満足。
それとストーリーには関係ないが、ジュリエットっていくつなんだろう、と思った。医者志望
ということで大学の講義にも出ていたが、とても大学生には見えない。全然きれいでもないし
若くも見えない。おまけに妊娠しているのだ。この先どうやっていくつもりなんだろう。

主演のラファエル・ペルソナはアラン・ドロンの再来と騒がれているそうだ。確かに若い頃の
アラン・ドロンに似ている。少し線が細いが。でもやっぱりアラン・ドロンの方が断然美形だ。
美形だが、アラン・ドロンのような"ギラギラした悪さ"を感じない。
私はアラン・ドロンより美しい男性は未来永劫現れないと思っている。
偏見かな?いや偏見ではないと思う。
コメント
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