リンパ球数により小児白血病患者の生存が予測可能

MDアンダーソンがんセンター記事（日本語訳全文）7月7日
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、5月5日(土)の全米小児血液腫瘍学会年次総会において、一回の簡易な血液検査によって急性白血病の小児および若年患者の再発と生存を予測することができる、と報告した。（略）

「化学療法、免疫調整剤、および経口サプリメントを用いて免疫システムを調整することにより、患者自身が白血病と戦う力を向上させることができると考えます。」と、MDアンダーソンがんセンター内小児がん病院の特別研究員であるGuillermo Dec Angulo医師は述べている。「またこのリンパ球絶対数（ALC）は、より少量の化学療法でも効果を得る患者を特定するのに役立つでしょう。」

今回の報告では、1995年から2005年の間にMDアンダーソンで治療を開始した21歳以下のAMLまたは急性リンパ性白血病（ALL）患者171人を試験対象とした。この統計から複数の分析を行ったところ、生存率に有意な差が見られた。
本試験の結果、治療15日目にリンパ球数が低値であったAML患者では、5年全生存率はわずか28％であった。しかし15日目にリンパ球数が高値であった患者では、はるかに良好な85％の全生存率を示した。
ALLは小児に最もよくみられる白血病の一種であるが、研究者らの所見では、小児および若年のALL患者のうち治療15日目のALCが高値の患者では6年全生存率が87％であったのに対し、15日目のリンパ球数が低値の患者では55％であった。

急性小児白血病に加えて、非ホジキンリンパ腫や骨肉腫であるユーイング肉腫の若年患者についても生存の予測がALCにより可能であることが研究者らにより示された。上記所見は、この簡易な検査により様々な種類の癌の治療法が見直される可能性があることを示唆するものである。

施設関連サイト：M.Dアンダーソンがんセンター日本語公式サイト、チームオンコロジー.Com