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緑茶中の化合物はボルテゾミブ(ベルケイド)を阻害する

2009-03-09 | 血液、リンパ腫etc
多発性骨髄腫の治療薬として承認され、その他複数の癌種に対する治療薬として臨床試験中のボルテゾミブ(ベルケイド)は、細胞構成体の一種で不要なタンパク質を分解するプロテアソームの活性を阻害する働きをする。実験室でのデータに基づき、研究者らはエピガロカテキンガレート(EGCG)を含め緑茶中の化合物を併用すると、ボルテゾミブの奏効が高まる可能性があると提唱した。

ところが、電子版Blood 誌2月3日号に発表された報告では、南カリフォルニア大学Dr. Axel Schönthal氏らは正反対の結果を得た。多発性骨髄腫患者由来の組織培養および多発性骨髄腫細胞を移植したマウスでは、多発性骨髄腫および膠芽腫の両細胞株においてEGCGはボルテゾミブの活性を完全に阻害した。実験では、薬局で販売中の栄養サプリメントの一種によって提供されているEGCGも使用された。その次に用いたサプリメントには全緑茶抽出物(GTE)および緑茶中に存在するその他数種の異なった物質が含まれていたが、これもボルテゾミブによって誘発される細胞死を妨げた。

研究者らは、EGCGがボルテゾミブの化学基(ボロン酸)と直接的に結合することを確認した。その結果、プロテアソームに結合し活性を阻害するボルテゾミブの作用(これは通常の場合、細胞ストレスと細胞死を引き起こす)が妨げられる。

「われわれは・・・[ボルテゾミブ]治療を受けている患者の方々に緑茶製品の摂取を控えるよう強く要請します。とりわけ、至る所で販売されている液状やカプセル状の高濃縮GTEについては、使用を控えてください」と著者らは述べた。
NCIキャンサーブレティン2月24日号ハイライト

ご参考<ミエローマと私「ベルケイドと緑茶>」


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