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ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2005年6月号

2005年06月01日 | 2005年

人の心は顔と同じようにみんな違うのだから、
何がよいか、何が美しいかは、
みんな違っていてよいー。
いつもそう思って、私はモノを見ているのですが、
そういえば、この感覚を得たのは、
目白にある「古道具坂田」の店主坂田さんの影響
かもしれません。
「ブリキ星」をオープンする以前、
まだ勤め人だった頃、毎週土曜日の午前中に、
目白の坂田さんの店を訪ねていました。
そこで、自分が「いいな」と思うモノと出会える
ことが、なによりの楽しみでした。
十数年もの間ずっと続けていました。
退職して自分の店をもってからは、
なかなか行かれなくなってしまったのですが、
昨日、久しぶりに訪問。
店内には、ヨーロッパの古い家具、
ヨルダンや弥生の土器、野良着などがあって、
以前と変わらない、懐かしい風景です。
そこで、昔のお客さんだった頃の気分に戻って、
「この良さは自分だけしか分からないだろう」
「買う人は自分ぐらいしかいないだろう」
なぁーんていう自己満足の世界に浸って、
見つけたのが、アフリカ・タンザニアの土偶
(写真)。土の固まりみたいで、でも顔の表情が
とてつもなく面白くて、乳房(?)のようなものが
いくつもついていて、いいですねー。
満足、満足!
ほんとうの商売人は、お客さんの顔を思い浮かべて
仕入れをするもんだ、とよく言われるのですが、
ついつい、そんなことはスっ飛んでしまうのです。
自分がいいと思うモノが、一番いい 。

ブリキ星通信/2005年5月号

2005年05月01日 | 2005年
有史以来、世界中で、土器・陶器・磁器と、
いろいろなヤキモノがつくられてきました。
その中で何と言っても、人間が最初につくった
ヤキモノ・土器が好きです。
"生まれたて"が持っている純粋さと、土の薫り
がいいですね。ブリキ星の常設店内には、
いつも、弥生などの土器を置いています。

現代作家で、この土器をつくっているのが
熊谷幸治さん。
彼の器は、以前から常設で置かせてもらって
いるのですが、また新しい作品を持ってきて
くれました(写真1,2)。
今までは、ヘラで形成したシャープな形。
今度は、石で叩いて形をつくり上げていった
そうでチョット見には、古い土器かと見紛う
のですが、どうして、オリジナリティがあって、
ふわぁっとした良い雰囲気です。
小さなお面も気に入っています。

もう一人は、沖縄の西表島でパナリ焼にとりくむ
嘉陽恵美子さん。
日本の土器は古代で途切れ、陶器に替わって行き
ますが、沖縄では近世まで残っていました。
嘉陽さんは、パナリ焼の手法を現代に生かして
いる作家です。今は映像だけですが(写真3)、
作品が到着するのを楽しみにしています。

最近、はまっている本があります。
児童書「こそあどの森の物語」シリーズ
(文・絵/岡田淳,理論社)です。
麻野文恵さん(古楽器演奏家で絵も描く人)の
お薦めで、彼女が2ヶ月に1冊届けてくれます。
これまで、『ふしぎな木の実の料理法』、
『まよなかの魔女の秘密』『森のなかの海賊船』
の3冊まで読みました(まだまだ続刊があります)。
久しぶりに子どものような気持ちになって、
ワクワクドキドキ。
人とのかかわり方がヘタで、
閉じこもっているほうが好きな
スキッパー(この少年がいいのです)が、
「事件」を通して、森の住民たちと交わり、
世界を広げ、自分を広げていく冒険物語に
グイグイ引きつけられ、店番をしながら、
もう何十回と読みました。
お客さんのいない店内で一人、
少年スキッパーと一緒に「船出だ!」と
叫んでしまいそうに…。
日本にも、こんなにおもしろいファンタジーが
あったのですね。
子どもの頃に、この本に出会っていたら、
もうちょっと「マトモ」な大人になっていたかも
しれない…、なんて考えました。