ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2008年12月

2008年12月07日 | 2008年

今年もわずかになってしまいました。
毎年のことですが、ブリキ星の秋は、企画展がたて込んで 、
いつダウンしても不思議でないほどの忙しさになります。
家族からは「どうしてもっとゆったりとしたペースでできないのか」
と言われ続けているのですが、どうも、それができなくて…

さて、写真の継ぎはぎだらけの茶碗ですが、これは非売品です。
以前、勝見充男さんが『骨董屋の非賣品』(晶文社)という本を出版され、
グリコのおまけから仏教美術にいたるまで、
いかにも著者らしい愛蔵品を沢山載せていましたが、
私にも約10点ぐらいの非売品があって、これはその中のひとつ。
初期伊万里(1610年~1650年頃)の茶碗の残欠です。
この茶碗を見せてもらったときは衝撃的でした。
一瞬にして魅了され、感嘆の声を上げてしまいました。
その場に居合わせた絵の作家さんが、
その尋常でない感激振りに驚いたほどです。
「生まれて初めてこんなものに出会ったよ」と、家で見せました。
「いつも、生まれて初めてって言ってる…どこがいいのか、
 もっと具体的に言ってみて」と 、妻は言います。
そんなこと説明できるわけがありません。
イイからイイのです。
スゴイからスゴイのです。
「生まれて初めて」というような出会いが刺激的なのです。
古いものでも新しいものでもその感覚は同じなのです。
この茶碗をつくったのは、朝鮮半島から渡ってきた、
多分強制連行されて来た陶工たちでしょうか。
こんなにプリミティブでモダンな造形をつくりだした人たちに
感謝します!