ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2005年8月号

2005年08月01日 | 2005年

暑い、暑い毎日です。
少し気持ちが涼しくなるような展覧会に行ってきま
した。群馬県立館林美術館で開催されている
「夏の蜃気楼~自然をうつしだす現代の作家たち」
(8月31日まで、写真1)です。
昨年ブリキ星で個展開催した吉賀あさみさんが、
お目当て。テトロン地にインクで描き、それを何層
にも重ねて不思議な気配をつくりだす彼女の作品は
魅力的です。
他の9人の作家さんは初めての人ばかりでしたが、
皆なかなかに見ごたえがあり、楽しませてもらいま
した。
稲垣知子さんの映像作品には、衝撃を受けました。
いくつもの古い電化製品が打ち捨てられている砂丘。
その向こうに大きなスクリーンが広がって、草の上
に横たわる女性の姿が映し出されています。
女性はわずかな動きをするだけなのですが、ジーン
と伝わってくるものがあり、知らぬまに涙がポタリ。
係りの人が、けげんそうな顔をしてチラリと見たの
で、あわてて会場を出ました。
つぎは諸橋明香さんのインスタレーション。
カラフルなプラスティックのバケツやホース。
プールに流れ込む水。心地よい水音が今も耳に響い
ています。
青木陵子さんのごにょごにょした絵、長塚秀人さん
の写真も心に残りました。
ついでに、美術館の食堂のランチにも満足。

ブリキ星には、毎月何人もの作家さんが
「作品を見てほしい」と言って来られます。
「批評」など、もとより出来ないことで、
目を白黒させて見せていただくだけですが、
それは結構辛く、ストレスにもなります。
しかし、また反面楽しみでもあります。
思いがけない出会いがあるからです。
先日は、黒田透さんが陶のかけらを持って
来られました。わざわざ「かけら」を作る
のもどうかな、と思ったのですが、見ると、
文句無く美しい!黒田さんの住む南伊豆の
風が吹いてくるようです(写真2)。