ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2006年11月号

2006年11月02日 | 2006年

今は、プリミティブアートが流行らない時代です。
重たい感じがするからでしょうか。
これだけ、ストレスの多い、競争社会になってくると、
「心地よいもの」を求めるのは、自然の成り行きかもしれません。
写真は、インドネシア・ティモールの木彫です。
多分、祖先像だと思います。
つくられた文化や歴史も全く知らないのですが、
この原始の持つ力強さとシンプルな美しい造形には、
ただただ感動します。
これをつくった人たちからすれば、
自分たちの土地にあってこそ、
本来のエネルギーを発揮するものなのでしょうが…

今年の6月、フランスのエッフェル塔近くに
「ケ・ブランリー美術館」がオープンしました。
ここには、アフリカ、アジア、オセアニア、
アメリカのプリミティブアートが展示されています。
展示品の中には、過去に泥棒のように奪ってきたものもあるのだけれど、
「植民地主義と決別し、多様な文化・文明の普遍性をさぐりつつ対話してゆこう」
というのが美術館の方針だそうで(「芸術新潮」9月号記事)、
納得させられるものがあります。
私は一度も海外に行ったことはないのですが、
いつかこの美術館には訪れてみたいですね。
日本でも、プリミティブアートの美術館ができれば、
アジアの中の日本や私たちの暮らしを考える、
よいきっかけになりそうに思うのです。
すでに、美術館の一つや二つできそうな個人コレクションがあるのですから。