ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2006年3月号

2006年03月02日 | 2006年

「こけし」

先日、伝統こけしの店「木ぼこ」を訪ねました。
小田急線の鶴川駅から歩いて20分、
丘陵地帯に広がる畑や自然公園にかこまれた
静かな住宅地の中に佇む白い家。
通りから見ただけでは店舗が併設されていることに
気づかないほどの控えめな入り口を開けると、
そこは見事なこけしワールド。
「木ぼこ」は今年の1月、静岡市から町田市に
移転して来たばかりの店です。
店主の苅部さんとは25年も前、
こけしに夢中になっていたころに知り合った仲で、
その後関心の方向は違っていきましたが、
長い年数を経て、同じく脱サラ組になりました。
久しぶりに見るこけしの群像は懐かしく、
30代半ばごろ、こけし同好の士と
木地の形や描彩についてあれこれ議論したり、
ひとりで飽かずに何時間でも眺めていた
ころのことが思い出されます。
私のこけし嗜好は次第に、
収集家の対象になる以前の古いこけしに
変わっていったのですが、
現代の作り手では、今晃(こんあきら)さんの
こけしだけは最後まで好きで、
今でも何本か大事にしています。
今さんのこけしには、過去の模倣だけではない、
同時代に生きるつくり手自身が感じられるからです。
「木ぼこ」には、その今晃さんのこけしが沢山ありました。
苅部さんの愛情がそそがれて育まれている
今晃さんのこけしや玩具は、
どれも幸せそうに見えました。
写真右端が、今晃さんのこけしです。

伝統こけしの店
「木ぼこ」
〒195-0055
東京都町田市三輪緑山4-5-4
TEL044-989-6561