ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2002年10月号

2002年10月01日 | 2002年

「これはブリキ星さんに置いてもらうといいかもしれない‥‥…」
軍隊時代の革の鞄(ポシェット)を、顔なじみの郵便配達のおじさんが、
店にもってきてくれました。
「養父の弟のもの」だそうで、フタの裏には墨で、昭和12年8月22日
土肥原部隊の何某と書かれてあります。
鞄の中には、7通の手紙が黄色くなって当時のままに入っていました。
幼なじみと思われる女性からの手紙です。

「元ちゃん…… 北支の方は随分寒いでせうね。
東京の方も今が一番寒い時季です。
でも北支にくらべれば私達ぜいたくなんか言って居られませんわ…」
(昭和14年1月30日)

女学生の制服姿の写真が一緒に入っています。
最後の手紙の日付は、昭和15年2月。
敗戦を迎えるまでには、さらに5年もの歳月がある……
その後、二人の運命は、どうなったのだろう。
鞄を手に、しばらく目をとじました。……
磨けば十分使えるポシェットです。
でも、このままにしておきたい気がします。

9月の企画展「元染付陶片・瓦・いろいろ」は、
好評のうちに終了しました。
ブリキ星の近所(歩いて1分)にいる美術商で、
インドネシア冒険家(?)が集めたものでした。
彼はインドネシアの業者も行かない島々を巡って、
美しいものを発見してきます。
今度「インドネシアからやって来た美しいモノたち」展
をやろうかと、相談中です。

10月の企画展は岡本真紀子さんの絵とエッチングです。
どうぞご期待ください。