ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2005年5月号

2005年05月01日 | 2005年
有史以来、世界中で、土器・陶器・磁器と、
いろいろなヤキモノがつくられてきました。
その中で何と言っても、人間が最初につくった
ヤキモノ・土器が好きです。
"生まれたて"が持っている純粋さと、土の薫り
がいいですね。ブリキ星の常設店内には、
いつも、弥生などの土器を置いています。

現代作家で、この土器をつくっているのが
熊谷幸治さん。
彼の器は、以前から常設で置かせてもらって
いるのですが、また新しい作品を持ってきて
くれました(写真1,2)。
今までは、ヘラで形成したシャープな形。
今度は、石で叩いて形をつくり上げていった
そうでチョット見には、古い土器かと見紛う
のですが、どうして、オリジナリティがあって、
ふわぁっとした良い雰囲気です。
小さなお面も気に入っています。

もう一人は、沖縄の西表島でパナリ焼にとりくむ
嘉陽恵美子さん。
日本の土器は古代で途切れ、陶器に替わって行き
ますが、沖縄では近世まで残っていました。
嘉陽さんは、パナリ焼の手法を現代に生かして
いる作家です。今は映像だけですが(写真3)、
作品が到着するのを楽しみにしています。

最近、はまっている本があります。
児童書「こそあどの森の物語」シリーズ
(文・絵/岡田淳,理論社)です。
麻野文恵さん(古楽器演奏家で絵も描く人)の
お薦めで、彼女が2ヶ月に1冊届けてくれます。
これまで、『ふしぎな木の実の料理法』、
『まよなかの魔女の秘密』『森のなかの海賊船』
の3冊まで読みました(まだまだ続刊があります)。
久しぶりに子どものような気持ちになって、
ワクワクドキドキ。
人とのかかわり方がヘタで、
閉じこもっているほうが好きな
スキッパー(この少年がいいのです)が、
「事件」を通して、森の住民たちと交わり、
世界を広げ、自分を広げていく冒険物語に
グイグイ引きつけられ、店番をしながら、
もう何十回と読みました。
お客さんのいない店内で一人、
少年スキッパーと一緒に「船出だ!」と
叫んでしまいそうに…。
日本にも、こんなにおもしろいファンタジーが
あったのですね。
子どもの頃に、この本に出会っていたら、
もうちょっと「マトモ」な大人になっていたかも
しれない…、なんて考えました。