ブリキ星通信

店主のひとりごと

ブリキ星通信/2007年6月号

2007年06月03日 | 2007年

高知県の毒ヘビが出る山の中で、
やきものを焼いている廣谷ゆかりさん
(HP「現代作家」欄で紹介しています)。
彼女は今、さらなる奥地、さらなる毒ヘビの出る危険のある場所に、
窯場を引越し中です。
古い窯をハンマーで壊して、
2トントラックで10往復もガレキを運んだとか…(大変そう!)。
廣谷さんのやきものは、たった今土の中から生まれ出てきたような、
土の柔らかさと香りが特徴ですが、
今度は、これまたゆるゆるした白磁に染付けのある碗を
作って送ってくれました。
碗もすばらしかったけれど、
その荷物の中に入っていた絵が気に入りました(写真)。
さしずめ、「雨の降る日、窯づくりをやめて作業場でろくろを回す図」
とでもいうような、まるで文人画。気分のよい絵です。
廣谷さんがひいている「ろくろ」は、足で蹴って回す「けろくろ」でしょうか。
新しい窯場は、上の方に見える鳥居のそのまた上の方なのでしょうか。
作業場に、猫ちゃんがいるのが見えますか。この猫ちゃん、
「向かいの家の飼い猫の三毛が、最近やっとなついてくれて、
雨宿りをしていきました」と、手紙にありました。
いつもFAXや手紙や封筒の片隅に、
ちょこっとした絵が描かれているのが楽しいのです。
荷物の中にはさらに、かわいい「おまけ」まで入っていました。
泥バチの巣です。初めて見ました。
窯の中のひんやりしたレンガの隙間に、
後ろ足に泥のしずくをつけて巣を作るのだとか。
廣谷さんは、窯焚きが終わって、
天井に焼けた巣がひっついてるのを見つけては、集めているそうです。
手紙に、「多分、耐火土の高い、山の土で巣をつくるので、
生焼けのかわいい色をしています。
真似て、同じようなのを作ろうとしても作れないので、
泥バチはすごいなァと思った事です」
と、書いてありました。泥バチの絵が添えられて。

できることなら自分も、こんなふうな絵を描いて過ごせたらいいなあ~
という気持ちにさせられました。