犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

震災後の新大久保

2011-03-30 23:38:27 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)

 家族がフランスに旅立ち,一人で無聊をかこっていた土曜日,兄が食事に誘ってくれました。

「息子が焼き肉食べたいっていうんだけど,新大久保でどこかいい店ないかなあ」

 まかせとけっとばかりに新大久保に繰り出しました。着いたのは7時半。土曜日の夜に行ったのは初めてでしたが,予想を上回る人出です。

「なんかすごいね」

 甥は高校でアメフトをやっている巨漢。今日は昼間部活で,お腹をすかせている。高級焼き肉店にいくと散財します。それで,サムギョプサルの店に行きます。一人前500円,チャミスルも500円の激安店。ところが,看板のネオンが消えています。

「店員の韓国人がみんな帰っちゃったのかな」

 もう一軒,路地を入ったところの,やはりサムギョプサル一人前500円の店は…。長い行列で2時間待ちだそうです。しかたないので,職安通りに抜ける小道に入ります。ここには,いま一番人気のカントンの思い出がある。当然のごとく予約がいっぱいです。

「どのくらい待ちますか」

「1時間ぐらいだと思います」

「ほかの店はどうですか」

「今,2軒しかやってないんですよ。震災のあと,お客さんがなかったもので」

 カントンの思い出は,昨年ブレークし,いまは新大久保界隈に5つの店舗を構えているのですが,そのうち3つはお休みだそうです。いちおう予約を入れ,順番が回ってきたら,携帯に電話をもらうことに。

 職安通りに出て,屋台でトッポッキやハットッなどを食べながら時間をつぶします。1時間経っても携帯が鳴らないので,店にいくと,

「すみません,あと1時間ぐらいかかりそうです」

(おいおい…)

 もはや甥の空腹が限界に達していたので,韓国料理はあきらめ,大久保通りに戻って満州料理の店に行きました。ここも人気の店なのですが,この日は運良く,すぐに入れた。羊の串焼きは初めてとのことで,甥はもりもり食べていました。

「焼酎にしようか」

「ダメダメ,ここのチャミスルは1200円だよ。最初に入ろうとした店なら500円なのに」

 串焼きでビールを飲んでいるときに,カントンからの電話が入りました。キャンセルしましたが,時間はわれわれが予約を入れてから2時間以上経っていました。

 震災後,一次閑散としていた新大久保は,最近になって客足は戻ったものの,店側が店員に暇を出したり,韓国に逃げたりで店が少なくなったぶん,異常に混んでいるようです。


 さて,実は二日後の月曜日の夜も一人で行ったんですね,新大久保に。目当ては,韓国カウンターバー。まずは腹ごしらえ。土曜日とはうってかわって,店はどこも空いている。

(平日だからかな)

とはいっても,焼き肉屋に一人では入れないので,線路沿いにあるタイ料理屋に入りました。

 奥の方で,若い女性客の団体が笑いさざめいています。初老の男性を囲んでいるところを見ると,大学のゼミの卒業宴会かなんかでしょう。

 入り口近くに設置されたテレビでサッカーをやっている。長友が大映しになりました。

「なんの試合ですか」

 店員に聞くと,チャリティーマッチで日本代表対Jリーグ選抜とのこと。新大久保に人出が少ない理由がわかりました。みんな,これを見るために早く家に帰ったのでしょう。

 試合はすでに日本代表が2点をリードして,まもなく前半が終わるところ。

 Jリーグ選抜は,中澤とか闘莉王とか小野とか元日本代表が多く,錚々たる顔ぶれです。後半は,キングカズ,三浦知良が登場し,場内の歓声がひときわ高まります。

 ガッパオとビールを頼み,空いている店内でゆっくり観戦しました。そして,今日の目当ての韓国バーに電話。ところが,呼び出しているので電話に出ない。どうも,お休みのようです。

 新大久保の店がすべて再開するには,まだ時間がかかりそうです。結局この日は,池袋の韓国バーに向かったのでした。


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