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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

縁の下のイミグレ

2025-08-07 00:19:14 | 
『アインが見た、碧い空。』の帯に、実写映画化(原案)決定!『縁の下のイミグレ』監督・脚本 なるせゆうせいと書かれていました。 Amazon prime で配信されていたので、観てみました。 小説『アインが見た、碧い空。』を映画化したものと思って見始めたのですが、違っていました。(ネタバレあり) 主人公はアインではなく、ハイン。ベトナム人技能実習生であることは同じです。 舞台は、日本のある行政書士事 . . . 本文を読む
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アインが見た、碧い空。

2025-08-05 23:56:44 | 
 昨年、『アインが見た、碧い空。』という小説を紹介したことがあります。ベトナム技能実習生の物語近藤秀将(こんどう・ひでまさ)著『アインが見た、碧い空。―あなたの知らないベトナム技能実習生の物語―』2022年11月、学而図書刊 著者、近藤秀将は、1978年生まれ。アジア圏のイミグレ(出入国管理)に強い行政書士。ベトナム国立フエ大学の特任教授。昨年の衆議院選挙で、埼玉選挙区に日本維新の会から出馬するも . . . 本文を読む
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フランダースの犬

2025-06-16 06:23:52 | 
写真:『フランダースの犬』(世界文化社、1966年。古本屋サイトより) 東野圭吾は『あの頃ぼくらはアホでした』という自伝的エッセイの中で、自分が子どもの頃、読書が嫌いだったと書いています。 我が母親の頭には、「本を読む子は賢い子」という定義が出来上がっていたらしく、なんとか息子にも本を読ませようとした。その第一弾が忘れもしない、『フランダースの犬』だった。 母親がうるさいので、いやいや読みだしたわ . . . 本文を読む
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東野圭吾『変身』『秘密』『分身』

2025-06-02 23:33:49 | 
 以前、東野圭吾の『宿命』(1990年発表、講談社文庫1993年)という作品を紹介したことがあります。「脳移植手術」に関する作品です。 それに続く作品が、『変身』(1993年講談社、94年同文庫)。 脳移植手術のあとに、人格が変わっていくという恐ろしい作品。『分身』(1993年集英社、96年同文庫)は、クローン人間に関する作品です。「クローン」で思い出すのは、韓国初のノーベル賞(科学)が期待された . . . 本文を読む
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東野圭吾『同級生』

2025-05-29 23:07:47 | 
『同級生』は、1993年に祥伝社より刊行された、東野圭吾の初期作品。本格学園推理としてはデビュー作『放課後』以来、2作目です。 めずらしく、書者自身によるあとがきがついています。「小学生の時から教師が大嫌いだった。」で始まるあとがきには、子どもの目から見た教師や大人一般への激しい嫌悪が書かれています。 実際、『同級生』には、教師たちの醜い姿がこれでもかというほど描かれています。 東野圭吾は、自伝的 . . . 本文を読む
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樋口一葉「にごりえ」②

2025-04-27 22:03:49 | 
写真:『にごりえ・たけくらべ』(新潮文庫、昭和53年改版)「にごりえ」のあらすじは、ざっとこんな感じ。 新開(今の本郷辺り)の銘酒屋(飲み屋の形をとった売春宿)「菊の井」の看板酌婦(私娼)、お力(りき)には、かつて蒲団屋の源七という馴染み客があった。しかし、お力に入れ上げて財産を使い果たし、今は妻子ともども長屋住まいながら、お力への思いを断ち切れない。お盆のころ、客の相手をしていたお力は突然席を立 . . . 本文を読む
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樋口一葉「にごりえ」①

2025-04-25 20:46:36 | 
写真:新潮文庫『にごりえ・たけくらべ』(昭和24年) 島根県に行ったとき、樋口一葉の『にごりえ・たけくらべ』を持っていきました。 最近観た芝居『おりき』の原作が、「にごりえ」だったからです。中目黒キンケロ・シアター 書棚を探すと、『にごりえ・たけくらべ』の文庫本が2冊ありました。同じ新潮文庫なのに、デザインが違います。 1冊は昭和24年初版、38年44刷(冒頭写真)。 もう1冊は昭和53年改版、平 . . . 本文を読む
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東野圭吾『魔球』

2025-02-18 00:00:37 | 
 東野圭吾はさまざまなタイプのミステリーを書いています。 学園ミステリーとかスポーツミステリーとか。『魔球』はスポーツミステリーの一つで、最初期の作品。舞台は高校なので、学園ミステリーとも言えますが。東野圭吾のデビュー作は、1985年に江戸川乱歩賞を受賞した『放課後』。『魔球』はその前の年、1984年に江戸川乱歩賞で最終候補作になるも落選。 講談社から単行本化されたのは、『放課後』(1986年)よ . . . 本文を読む
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東野圭吾初期3作品

2025-01-04 23:44:38 | 
 家にあった東野圭吾の作品をランダムに『白夜行』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『宿命』、『夜明けの街で』と読み継いできて、作風や構成の多様さに目を瞠りました。 初期の作品から順番に読んだら、作風の変化がわかるだろうと思い、年末にブックオフで5冊ほどの代表作(主に文学賞受賞作品)を買ってきました。『放課後』 略歴によれば、東野圭吾は高校2年生のとき(1974年)、小峰元『アルキメデスは手を汚さない』を読 . . . 本文を読む
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東野圭吾『夜明けの街で』

2025-01-03 21:54:44 | 
※ ネタばれなし 恐ろしい小説です。 推理小説というより、不倫小説と言ってもいいかもしれない。 本書は、「不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。」という一文で始まります。 メインストーリーであるはずの殺人事件が出てくるのは、68ページ目(文庫版)。 その後もストーリーは「不倫」を軸に展開します。 そして事件の種明かしが終わった後、恐怖の結末が待っています。 本書は2004年から雑誌に連載され、200 . . . 本文を読む
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東野圭吾『宿命』

2025-01-02 22:35:58 | 
※ ネタばれなし 年末、大掃除の合間に読み進み、例によって夜中に読了しました。 1990年発表(講談社文庫1993年)というから、東野圭吾の作品としては比較的初期の物。 刑事になった主人公が、高校時代のライバルと恋人に再会し、ある事件を追います。 殺人事件はボウガンという武器(弓)が使用されていましたが、東野圭吾は大学時代にアーチェリー部の主将だったそうですので関係があるかもしれません。 推理小説 . . . 本文を読む
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東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

2024-12-30 00:33:09 | 
※ネタばれなし『白夜行』の次に手に取ったのは、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2012年KADOKAWA刊、2014年角川文庫)。 日曜日、一日で読了しました。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、2012年に第7回中央公論文芸賞受賞、2017年に日本、中国で映画化されたそうです。 日本だけでなく、世界中でベストセラーになり、2023年8月、全世界で1500万部売れたというとんでもない数字が発表されています。『白夜行 . . . 本文を読む
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東野圭吾『白夜行』

2024-12-29 21:34:03 | 
※ ネタばれなし 少し前、知り合いから本を勧められました。「『白夜行』って読んだことありますか?」「いや。誰の作品?」「東野圭吾です」 東野圭吾はミステリー作家で、ミリオンセラーをいくつも出しているはず。私はミステリーの熱心な読み手ではないので、ほとんど読んだことがありません。「とにかく、すごい作品です」「そう? こんど読んでみるよ」 私の家の書架には、私の蔵書以外に、妻が読んだ本、4人の娘たち( . . . 本文を読む
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ベトナム技能実習生の物語

2024-11-06 23:53:27 | 
 選挙の少し前、行きつけのカフェに行きました。 そこには地元の選挙区から今回の選挙に立候補した、ある候補者のパンフレットが置いてありました。「ああ、この人、前にお店で会った…」「よく来ますよ。事務所が近いからね」 前に会ったとき、三味線を持っていて、今時珍しい人だなあと思いました。 私の亡くなった伯母が小唄の師匠だったこともあり、三味線に関して二言三言、言葉を交わしたのです。「選挙に . . . 本文を読む
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ユンボギを利用した人々

2024-07-02 23:01:34 | 
写真:『ユンボギの日記』海賊版(クルポッ社) ユンボギの不幸(貧困)の元凶は両親でした。 父親の飲酒、遊び(賭け事、女)、家庭内暴力のせいで、母親は4人の子どもたちを捨てて家出しました。「少年家長」として父を含め家族5人の家計を支えたのが「ガム売り少年」のユンボギでした。「日記」を読んだ担任の柳英子先生は、ユンボギに同情し、励まし、ときには自分の弁当を与えるなどしましたが、それ以上のことはできませ . . . 本文を読む
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