
写真:高峰(コボン)参鶏湯
今回同行したNさんは辛い物が苦手なので、二日目の昼食はプルコギにしました。
夜は、現地駐在員の日本人2人といっしょ。
駐「夜、何にしましょうか」
N「できれば辛くないものが…」
駐「サムゲタン(参鶏湯)なんか、どうですか」
N「大好物です!」
実はNさん、今から30年ほど前にソウルに三か月間長期出張したことがあり、多い時は週3回、参鶏湯を食べていたのです。ほとんど主食ですね。
駐「おいしい参鶏湯屋があるんですよ。ミシュランガイドに載っているそうです」
私「そんな店があるんですか!」
高峰(コボン)参鶏湯という店。
私「参鶏湯屋さんって、百済とか高麗とか、王朝の名前が多いのに、珍しいですね」
入口のガラス扉に「ミシュラン2017」と大書してありました。

出張組の3人はそれぞれ参鶏湯を頼みましたが、現地組の2人は最近参鶏湯を食べたということで、ヘムルジョン(海鮮お好み焼き)とか、チキンの丸焼きとか、酒のつまみになるものを頼んでいました。
(参鶏湯の店だからチキンはわかるけど、ヘムルジョンも?)
駐「ここの参鶏湯は、スープが濃厚なんですよ」
N「ほんとうだ! 黄色い感じですね。コラーゲンたっぷり」
かつて週3回参鶏湯を食べていただけあって、参鶏湯にはうるさい。
私「ミシュランのいくつ星なんでしょう」
駐「さあ。2017としか書いてないね」
N「ピブグルマンかな?」
ピブグルマンというのは、星付きより味は劣るがコスパに優れたお店。しばしばB級グルメも選定されたりします。
三人「おいしいですね。さすがミシュランです」
参鶏湯には高麗人参酒が盃に一杯ついてきます。Nさんは高麗人参の匂いが苦手だそうで、私にくれました。私は1杯はそのまま飲み、もう一杯は参鶏湯のスープの中に投入。昔、韓国人に教えてもらったやり方です。
ほかにビールと焼酎を注文。
参鶏湯は一羽の鶏の内臓をとりのぞき、そこにもち米とか高麗人参とか棗(なつめ)とか、体によさそうな薬食材を詰め込んであります。完食すると満腹です。
駐「ほかに何か追加する」
三人「いや、これ以上食べられません」
駐「じゃちょっと早いけど、お開きにしましょうか」
三人「はい」
参鶏湯は2万ウォン(2200円ぐらい)、その他合わせて割り勘で2万5千ウォンというのは、夕食代としてリーズナブルです。
後で調べたところ、ミシュランガイドブックの「ソウル版」は2017年に初めて刊行され、2017年は、
三つ星2店
二つ星3店
一つ星19店
ピブグルマン35店
そのどこにも高峰参鶏湯は載っていませんでした。
もしかして虚偽広告?
お店のホームページを見てみると…

2017MBC
全知的お節介視点
イ・ヨンジャ推薦のうまい店!
と書いてありました。
(イ・ヨンジャ?)
私はよく知りませんが、イ・ヨンジャというのは韓国で人気のタレントで、レストラン探訪番組(全知的お節介視点?)が人気なんだとか。
そしてその下に「ミシュラン」を解くカギがありました。
美味しくて健康的な一杯
生きている(≒歩く)ミシュランガイド、イ・ヨンジャが激賞した参鶏湯!
メシマコブと薬水で作ったブランド参鶏湯を提供します。
要するに、人気タレントのイ・ヨンジャが褒めた店で、イ・ヨンジャの別名(自称?)が「生きているミシュランガイド」だった。
店の入口の「ミシュラン2017」は、そういう意味だったのです!
おいしかったから許すけど…。
韓国あるあるです。ミシュランは嘘でも、おいしかったことは確かです