ここは名刀工『備前長船長光』で有名な日本刀の里。備前長船の刀は、あの佐々木小次郎や坂本龍馬が愛用していたことでも有名な刀工集団なのである。今も多くの刀工を輩出し、名刀を世に送り出し続けている。
僕はお城、日本庭園、鯉など、とても和風なものに惹かれてしまうが、義を貫く武士道を描く、藤沢周平原作の時代劇映画なども大好きである。そして、時代劇には欠かさせない日本刀には昔からとても興味があり、決して詳しいわけでは無いが、日本刀への漠然とした憧れがあった。この為、長船を訪れることはかなり前からの念願であった。
ここ長船には、『備前長船刀剣の里』という施設がある。ここでは件p的な輝きを放つ名刀の数々が展示され、更には刀匠による刀作りの実演も見ることが出来る、とても貴重な博物館である。
それにしても、生で見る本物の日本刀の輝きは、あまりにも美しい。しかし、その美しさが、気が遠くなるようなプロセスによって生み出されていることを今回初めて学んだ。
日本刀作りのプロセスは簡単に分類すると下記の通り。
1) 玉?たまはがね)- 砂鉄を熱して出来た玉高ェ材料となる。
2) 水減り – 玉高冾ウ3mm程度の煎餅状に叩き、小割りにして適材を取り出す。
3) 積み沸かし - 更に小割りにした玉高マみ重ねて1300度の高温で熱して行く。
4) 鍛錬 - 高@いて、強い地金にしていく。そして地金を更に半分に折り重ねて
更に加熱していくプロセスを数回繰り返す。
5) 火造(ひづくり) - 練り上げ適材とした地金を組み合わせ、鍛接して打ち延ばし、
ようやく刀の形を少しずつ作っていく。
6) 土置 (つちおき) - 形の出来上がった刀身に強度と切れ味を出す為に、焼き入れをする。
土を塗る方法をとろことによって、日本刀独特の刃紋が現れる。
7) 焼入れ - 土置をした刀身を約730度で加熱し、水で急冷。経験と勘の世界。
8) 鍛冶押 (かじおし) – 焼入れの済んだ刀身の形を整え、線と肉置を決める。
9) 樋かき - 形の整った刀身に彫刻を入れる。
10) 銘切り – 研師より研ぎ上がってきたものを確認し、銘を切る。
このような何カ月にも及ぶ長いプロセスを経て、ようやく世界に一本しか存在しない、唯一無二の日本刀がこの世に誕生するのである。
これぞまさに職人戟E匠の技であり、日本人の魂と技が集約されている。本物の日本刀が一本数百万円もするのも納得である。刀としてのクオリティーに加え、件p性も兼ね備えているのだ。
面白いことに、刀に関連する言葉が日本語の言い回しとして実に多く使われていることを再確認。例えば、鍔迫り合い、元の鞘に収まる、切羽つまる、目貫通り、鎬を削る、反りが合わないなど、普段何気なく使用している言葉の多くが、日本刀の部位に由来しているが、如何に刀が侍にとって大切なものであったかが、この点からも伺える。
刀剣の里にあるショップで、刀匠の河内國平氏の本、『刀匠が教える 日本刀の魅力』を購入した。日本刀作りのプロセスや、日本刀Q&Aなどの情報が詰まった入門書で、英訳されたバージョンも発売されている。
嬉しいことに、河内氏による直筆サインが入っていた。
備前おさふね刀剣の里 (備前長船刀剣博物館)
岡山県瀬戸内市長船町長船966
0869-66-7550
http://www.ikoi-okayama.com/token.html
今回、念願の備前長船を初めて訪れ、日本刀の魅力に触れて、深い感銘を受けた。日本人が世界に誇るべき刀匠の技は、今後も伝承されるべきものであると強く感じた旅となった。
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