2023年の夏ドラマクールで、『こっち向いてよ向井くん』と共に、結構気に入っているのが、フジ月9の『真夏のシンデレラ』だ。正直最初はまた“今時の若者を集めて、チャラいグループ交際・恋愛ドラマが始まったなあ~”なんて軽くみていたが、実際に観てみるとこれが意外にも結構面白い。
面白いと感じた理由が自分的に3つあると感じている。まず一つ目が、まずドラマ展開の“テンポ”が凄くいいことだ。スタートから視聴者をグイグイと感情移入させる展開で、脚本がいいのかもしれないが、わかりやすい盛り上がりが程よく織り交ぜられている点がとても見やすい。
そして2つ目は、主演の森七菜がとてもキラキラしていることだろう。森七菜と言えば、2020年に連続ドラマ初主演となったドラマ『この恋あたためますか』でとても可愛く、演技もなかなか上手であったのが印象的で、ちょっと宇多田ヒカルにも似ていて、オーラがその昔の薬師丸ひろ子みたいに持っている子だと感じ、“この子はこれからきっと大ブレイクしていくなー”と確信した。しかしその後事務所なども変わったりしたせいか、暫く主演級のドラマなどがなかったが、2年ぶりの主演ドラマで、しかも初の月9である。キラキラとして、活き活きとした演技の彼女が戻ってきたのが何とも嬉しい。
そして最後の3つ目は、タイトルにもある“シンデレラ”要素のキャラ設定がそもそもとても好きになってしまう点だろう。基本的に、現代風の“男女7人物語”とも言えるグループ交際的な物語で、その中で色々な恋愛模様が展開されるのだが、設定が主人公の一人の健人(間宮祥太朗)とその友人グループの男性はみな東大卒の優秀なエリート。一方で森七菜演じる夏海(なつみ)は、湘南でサップ(スタンドアップパドルボート)のインストラクターをやりながら、父の経営するレストラン経営や家事の3役をこなすサバサバした性格の女の子。決して裕福でも学歴頭が高いわけではないが、物語の中でしばしば”健人たちとは住む世界が違うなあ”、というセリフが出てくる。僕はこういう、住む世界が違う設定が恋のハードルとなっているような男女の恋愛物語が昔から大好きだ。まさに大げさに言えば『ローマの休日』状態であり、『プリティ・ウーマン』のようなシンデレラ物語にも通ずるものがあり、この設定にどうしても惹かれてしまうのだ。
夏海は、偶然に知り合った健人のことを、住む世界が違うと感じながらも次第に惹かれていくし、健人も今まで周りにいたタイプの女性とは恐らく全く違う夏海にどんどん惹かれていく展開が、とても上手く描かれている。夏海には幼馴染の牧野匠(神尾楓珠)がいる。当初は匠も夏海を女として見られないと言って、夏海の告白を一度断るものの、健人が夏海のことが好きであることを知った匠にも、夏海に対する気持ちの変化が出始める。今後夏海をめぐって神尾vs間宮の熾烈な恋の三角関係が展開されるのだろう。
他にも女優陣は吉川愛、仁村紗和が森七菜と仲良し3人組を演じ、東大卒エリートグループの男性陣は、間宮をはじめ、神尾楓珠、萩原利久、Generationsの白濱亜嵐、水上恒司(芸名としていた岡田健史から本名名義に変更)などが共演。なかなか多彩な若手俳優陣が揃ったものだ。
軽い恋愛ものではあるが、久々に王道の恋愛物語ではあるし、夏の湘南を舞台にしている点でもどこか懐かしい王道の夏模様を思い起こさせる。まさに令和版『男女7人夏物語』として楽しめそうなドラマであり、ドラマで夏を満喫しながら、今後の展開を楽しみにしたい。