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ワクチンの異常反応

2010-02-02 20:56:50 | Weblog
新潟で、新型インフルエンザのワクチンを接種した方が亡くなられました。
心臓などに持病をもっておられると、重度の副反応が出る場合があるようです。
免疫系が過剰応答しているのかもしれません。

犬や猫のワクチンでも、稀ではありますが蕁麻疹や呼吸困難などの副反応が起きえます。
年に1頭くらいは、「ムーン・フェイス」と言われる顔面のむくみを体験します。
圧倒的にこれが起きるのは、ダックスフントですね。
飼育頭数も多いのですが、獣医さん的にはダックスフントは免疫系に異常がある犬種なのです。
麻酔剤や抗生物質などでも、普通は起きないような異常反応が多いです。
また縫合用の糸に異常な反応が起きて、「縫合糸肉芽腫」というシコリができることもあります。
関節に異常なリウマチのような反応がおきたり、皮下に無菌性の結節性脂肪織炎を起こします。
そういうちょっと不思議な体質の犬がダックスフントなのです。

それでも命に関わらない副反応だけならまだいいのですが・・・。
極めて稀ですが、命にかかわる異常な反応もありえます。
私の聞くところでは、ワクチン接種後に重症の膵炎を起こして亡くなった犬や、
多臓器不全に陥ってしまい、亡くなってしまった犬の話を知っています。
免疫系がワクチンの抗原蛋白に過剰に反応して、自分の身内である臓器を誤って攻撃してしまうのでしょう。
このような病態を、免疫介在性と呼んでいます。
年に数回、免疫介在性の疾患を体験しますが、皆その症状は激しいですね。

ステロイド剤や種々の免疫抑制剤を用いて治療しますが、時間のかかる病態が多いです。
薬剤にも異常免疫反応が出る場合があります。
薬疹といいます。
先日体験した薬疹は、歯科処置のために点滴したテトラサイクリン系抗生剤が原因となりました。
麻酔処置後に投薬したら、みるみる皮膚に発疹が・・・。
血圧も下がってしまい、リカバリーにかなりの時間がかかりました。
無事に復活してくれましたが・・・。
ちなみにこの子も「ダックスフント」でした!

ダックスには何でもあり(普通はない病気が起こりうる)・・・、
これは獣医師の格言ですよ!