日々の出来事

当院の出来事を紹介します

開業するということ・・・

2009-05-27 21:15:29 | Weblog
今日の昼に、新潟市獣医師会の連絡会議が行われました。
狂犬病ワクチンの集合注射(外で打つ旧来からの行政サービス)等、
同業者で協力しないと遂行できない大きな仕事もあるため、年に数回の会議があります。
6月末に動物病院を新しく開業なさる獣医師Aさんが、今日の会議に挨拶にみえました。
大学の後輩にあたる先生ですので、がんばって欲しいと思っています。

開業する・独立するということは、ある種の覚悟が必要だと思います。
診療上発生する責任は、全て自分にのしかかってきます。
自分の臨床経験が、はたして十分なものか否かが、飼い主さんから評価されます。
自分の知力と能力の限界が、毎日のように他人様から評価され続ける世界です。
体調を維持しつつ、多少の無理をしないと信用が得られないでしょうね・・・。
そして周囲の同業者の協力がないと、正直よい診療は難しいと思います。
無い設備を借りたり、手術に協力してもらったり、意見を聞いたりできる関係は重要です。
助け合いの精神、切磋琢磨の精神ですね。

近々、「往診を専門で行う」という獣医師Bさんが、開業届を保健所に出すようです。
診療施設を持たないで往診のみを行なうそうですが、どう診療してどう「責任を持つのか」が試されます。
家族である動物に対し、本気で「往診獣医療のみ」を行っていくというのであれば、
それ相応な臨床経験が必要だと私は思いますし、実際その覚悟が試されることでしょう。
そして真に地域社会が受け入れてくれるだけのクオリティがあれば、継続していけることでしょう。
始めるだけならだれでもできます。10年以上継続し続けることこそがたいへんなのですね。

















湿疹って言われました!!

2009-05-27 01:28:25 | Weblog
先日、初診の老犬が診察にいらっしゃいました。親戚の方が亡くなって、行き場がなくなり引き取ったそうです。
お尻に異常があり、近くの獣医さんにいったら、「湿疹だ」とはっきり言われたそうです・・・。
でも、どう見ても肛門におできができているんですね。飼い主さんもそう考えている・・・。
「てきとう」「勘」、「気分」、「経験」もほどほどにしないと、まずい場合もありますよね。
診たての善し悪しは、医学的根拠(エビデンス)を求める姿勢と同様、医者のセンスそのものだと思います。
よく見たらわかる病気は、見逃してはなりません。

肛門にできるしこり(腫瘤)は、多くは男性ホルモンの長期暴露に関係したものです。
つまり去勢手術をしていないと、年齢を重ねてから生じてくる異常なのですね。
ちなみに人でよくある「痔」と言われる病気は犬には生じません。
犬では圧倒的に、肛門には腫瘍ができます。
良性の肛門周囲腺腫も多いですが、悪性の肛門周囲腺癌やアポクリン腺癌も頻繁に遭遇します。
他の腫瘍が肛門にできることもあります。
なお。腹腔内に残って降りてこない精巣(睾丸)は、将来悪性の腫瘍になる確立が極めて高いです。
早めに開腹して摘出しておくことを強くすすめます。

肛門の腫瘍は、若いうちに去勢手術を施しておくと、ほとんどできないですね。
ただ、多くの飼い主さんは知識が無かったり、「かわいそうだから」、と言って去勢しないのですね。
動物は、自分で治療を選択できません!予防にも行けません!意見や苦痛を訴えることはできないのです!
将来的に、十分なりうる病気は早めに予防しておくことが得策です。
家族なら、真剣に考えておきましょう。
当院では強制はしていませんが、去勢手術はする方向でご指導しています。
正直なところ、「また肛門の腫瘍が来た!」というのが本音です。
でも、そう簡単に決心つかないんだろうけど・・・