ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

ホックナムリバー・リニアパーク

2020-10-01 06:19:21 | 生活
 ホックナムリバー・リニアパークとは、イーストハートフォード市にあるトレイルだ。このトレイルは筆者が、同じくイーストハートフォードのパブス・アフリカンレストランに出入している際に車から入り口を見つけ、なかなか気軽な位置にあるトレイルだと思ったのが最初の出会いだ。ハートフォード地域には山の方へ行かずとも、町中のそこらに軽い遊歩道が整備されていて、犬の散歩やランニングをする人々に利用される。もちろん山のトレイルの方が空気もキレイでよいのだろうが、簡単な軽い運動を空いた時間にする際にはこういった場所も重宝するのだろう。


①入り口
どちらもハートフォード地区を東西に横断する84号線と44号線が、イーストハートフォード市で複数の道路で結ばれている。ホックナムリバー・リニアパークはそのうちのスコットランドロードに面していて、駐車場はだいたい20台くらいは止められる広さだ。筆者は休日の午後3時前にここにやってきた。駐車場には車は一台もない。ウエストハートフォード市とは違い、コネチカット川を挟んだこのイーストハートフォード市はやや貧しい地域であるのも原因か、入り口にはゴミが目立ち、看板もすすけてしまって何が書いてあるのかよく判らない。トレイルの地図もないのでやや不安になったがとにかく入ってみることにした。



⓶トレイルその1
トレイルに入るとすぐに分岐があって、丸太でできた標識が立っている。標識によるとここからホックナム川を下流方向へ進んで本流のコネチカット川まで往く道と、上流へ進む道に分かれているようで、下流へ向かう道にはカヌーの発着場があるとのことだ。筆者は上流へ向かってみることにした。木製の橋を渡りながら進むとすぐに川に辿りついた。ここからは延々とホックナム川沿いを進む道であり、左手に川面を見ながらハイキングができる。ホックナム川の流れはとてもゆっくりしていて、流木などが残り、深く淀んだ部分や浅い流れなどの変化に富んでいる。時折流木で日向ぼっこをする亀なども見られ、その景色はなかなの清流を歩いているような気分になれるが、いかんせん川向うは民家の裏庭であり、ときどき生活排水の臭いがする。



③トレイルその2
トレイルの右手には森が広がる。背の高い木のせいで日が十分に差さないためか、下草はほとんど生えておらず、地面は一面が落ち葉で覆われていて見通しがいいので気分がよい。そしてとにかくリスが多い。山の中よりもずっと多いのは、きっとニンゲンの残飯なども当てにし生きているのだろう。そう思うとトレイルに落ちている菓子のくずももしかしたらリスがどこからか持ってきたものなのかも知れない。リスはガサガサと常に落ち葉を鳴らし、忙しそうに動き回る。川に倒れ込んだ流木を渡って向こう岸まで行くものまであるので、時折立ち止まってその動きを見ているのも面白い。鳥の鳴き声の種類も多いのだが、鳴き声を聴こうと耳をすませば、84号を走る車の音が「ゴー」と耳に入ってきてしまう。




④トレイル概要その3
さらに進むと川向うにレンガ造りの古い建物が見え、その付近で川は人工の段差が設けられ滝になっている。ここからトレイルが川から逸れはじめたのだが、急に下草が多くなり、倒木があったりと、人が歩いた形跡が薄れてきた。このとき既に30分ほどは歩いていたので、筆者はもう引き返すことにした。傾斜は少ないので歩きやすいし、道幅がせまくてマウンテンバイクに適さないので前後を気にせずハイクできる。再び駐車場に戻って来た時点で小一時間、4千歩のミニハイキングであった。夕暮れ前のハイクだったせいか誰ともすれ違うことはなかった。長屋に帰り、このトレイルについて調べるも、主にカヌーをする少年少女の画像が出てきたので、カヌーを楽しむ人の利用が多いのかもしれない。


 ニンゲンはあるとき二足歩行を始めたことが、劇的にその後の世界を変えた。ほぼほぼ遺伝子が同じサル諸君たちと分かれて大規模な移動を可能にしたのも二足歩行、脳が発達したのも二足歩行により重たい頭部を支えることが可能となったためなのだそうだ。今でもニンゲンにとって「歩く」という言葉は本来の意味以外に、やってくる未来に対する肯定的な態度を表現する意味を持っており、古くは水前寺清子さんや小林亜星さんの歌、新しいとこでいえばいきものがかりさんの詩にも表れている。それに歩くことが必要なのない生活スタイルになってもこうして無意味に歩くことで何となく満足感を感じるのは、ニンゲンの遺伝子が「歩くことで生き抜いてきた」記憶を持っているからかも知れない。そんなことを考えながら筆者は車をビュンビュン走らせ長屋へ戻ったのだった。幸せは歩いてこない、だから歩いていくんだね。