ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

44号線ドライブ ハートフォード~プロビデンス

2020-10-20 04:19:43 | 生活
 44号線ドライブ ハートフォード~プロビデンスとは、筆者が暇な休日に敢行したのんびりドライブのことだ。この道路はニューイングランド地方を横断しており、ハートフォード市から東方を見れば、市の中心部からロードアイランドの州都であるプロビデンス、さらにはメイフラワー号が大西洋を渡って上陸した、まさしく『アメリカの故郷』、マサチューセッツ州プリマスまで延びており、その経路には歴史を感じさせる。だが、普段の東西の移動は84号線や90号線といった自動車専用道路を利用してしまうので、利用機会は少ないのだ。であるからして、『何か興味深いものがあるかも知れない』と思い立ち、ドライブすることにした。


このドライブの結果は以下のとおりだ。参考にして貰いたい。


①44号線
44号線の歴史について調べるも、小手先の調査ではあまり有意義な情報は得られなかった。だがなんでも19世紀にできたいくつもの“TURNPIKE(通行料が徴収された道)”を繋ぎ合わせたもので、由緒のある道路には違いないようだ。とにもかくにもスタート地点のハートフォードのダウンタウンへと向かうことにした。



⓶“アッパーアルバニー”から出発
スタート地点はハートフォード中心部北のアッパーアルバニー地区、廃墟のような古いレンガ作りの建物が点在し、歴史のあるエリアであることはうかがえるものの、今はけっこう廃れた界隈になる。ルート44号のこの部分はアルバニーアヴェニューと呼ばれ、19世紀初頭にできた道だとのこと。周辺は第二次大戦前まではユダヤ人やアイルランド人、戦後には黒人と、割と差別の憂き目に逢っていた人々の生活エリアとなっており、今でも都市部の暗部が凝縮されたような雰囲気を持つ。でも筆者がよく利用するジャマイカンレストランやベーカリーもここにあって、昼間はなかなか楽しいところなのだ。



③イーストハートフォード~マサチューセッツ~
ヤードゴートのスタジアムを抜けると左折してコネチカット川を渡り、イーストハートフォード市へ。この橋の部分は6号線と84号線と共用だったり、橋を渡ると5号線に突き当たったりして、44号線はつぎはぎになっているので標識を見ながら進まなくてはならない。イーストハートフォード市もまた、プエルトリコ系やジャマイカ系、アフリカ系の人々が多く住むエリアで、44号線沿いには楽しいお店が沢山ある。筆者はペッパーズ・ジャマイカンベーカリーで朝食を買い、再び車に乗り込む。マサチューセッツ市を抜けて6号線と分岐すると景色に森が広がり始める。野菜や果物を売るファームがところどころで見られるので、喉が乾いたらせっかくだからリンゴを買って齧るのが、粋な気分になってよいだろう。



④コネチカット大学
さらに田舎道を走っていると、コネチカット大学が右手に現れる。東京理科大学長万部キャンパスや、立命館アジア太平洋大学などのように、上京を期待して入学したら遠隔地だったガッカリサテライトキャンパスかと思いきや、この大学は1881年にこの場所で設立されたのだそうだ。古い建物が残り、ミュージアムなどもあるようで、44号線がやはりかつての交通の幹であったことが偲ばれる。中を覗いてみても楽しいことがあったかも知れないが、今回はパスした。



⑤ポムフレット、パットナム
さらに進めば道はより深い森に包まれ始め、寒暖差の激しい湖畔の木々はすでに紅葉を始めていた。ところどころに州立公園やトレイルが現れるのだが、標識が不親切で立ち寄るチャンスを逸してしまう。だいたいアメリカは、けっこうな観光地でも日本の様に『○○まで○キロ!』といった来所を促す標識がないことが多いので、目的のないドライブでは名所を見逃してしまうのだ。州境に近づくとポムフレット、パットナムといった集落が現れ始める。これらの町は広大な庭が綺麗に整備された富裕層っぽい邸宅があり、民主党支持層の白人が多いようだ。パットナムは鉄道の駅があってその周辺が小洒落たバーやカフェで賑わい、古い建物には大きなアンティークショップが入っていてこれも楽しい。筆者はこのアンティークショップに立ち寄り、昔のハートフォードを描いた古い絵葉書を物色していたが、白人の太った女性店員にずっと見張られていたようで、購入しようと数枚を手に取った瞬間に『預かりましょうか?』と声をかけられた。



 30代独身日本式サラリーマンの心には、伝説の教育番組『たんけんぼくのまち』で培われた探検心が残っている。だから遠くへ行くことがどんなに簡単になっても、長屋で仮想世界の探検に没頭できるようになっても、ちょっとした近場の隠れた魅力を探しに出かけてみたくなる。パットナムでは白人のキレイ目な姉ちゃん店員がいるカフェでフローズンコーヒーを注文し、それを一気に飲み干して再び車に乗り込んでプロビデンスへ。プロビデンスの町を少しだけ散歩し、また戻る。普段の自動車専用道路では2時間足らずで行ける行程を3時間程度かけたのんびりドライブは、近場なのに遠出をした気分で心地よい。ちなみにちょうさんは2020年の現在、声優・ナレーターとして活躍されているようだ。62歳だという。我々もまだまだこれからよ。