読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

真のエリートに欠かせない、「真贋の洞察」(西尾幹二著/2008年)

2010-01-29 18:33:49 | 本;エッセイ・評論
<目次>
第1章 保守の真贋について
生き方としての保守、安倍晋三は真正保守の政治家に非ず—二大政党制という妄想

第2章 思想の真贋について
「偽君子」坂東眞理子の「品格」を斬る、「廃墟」の思想家・フェミニスト上野千鶴子、「贋者」の行列—竹内好、丸山真男、鶴見俊輔、大塚久雄、小熊英二、「素心」の思想家・福田恆存の哲学

第3章 情報の真贋について
GHQによる「焚書」公立図書館による「焚書」、朝日新聞の「社説21」が唱える空理空論を嗤う

第4章 経済の真贋について
日米軍事同盟と米中経済同盟の衝突—なすところなき小泉、安倍、福田—、日本は中国に「アヘン戦争」を仕掛けている—本来中国は「鎖国」文明である、金融カオスの起源—ニクソンショックとベルリンの壁崩壊

第5章 政治の真贋について
日本は米中共同の敵になる—「集団忘却」の日本人へ、金融は軍事以上の軍事なり—米中は日本の「自由」を奪えるか、改めて直言する「労働鎖国のすすめ」



西尾幹二さんといえば、「新しい歴史教科書をつくる会」。今は一線を引かれているようですが、私もその意義に共感し「国民の歴史」(1999年)を読みました。本書は、2008年の10月に出版されており、ちょうど麻生政権がスタートした時期ですのでタイムラグはあるものの、西尾さんの全書を通じての首尾一貫した主張にはいささかの錆びつきもありません。

特に、第2章「思想の真贋について」の福田恆存氏の哲学、第3章の「GHQによる『焚書』公立図書館による『焚書』」、第5章の「日本は米中共同の敵になる」で引用される曽野綾子さんの「沖縄戦・渡嘉敷島『集団自決』の真実」は私にとっては新たな知見となりました。


昨今の政治状況を見て情けなくなっている方も少なくないと思います。民主党の政権運営能力には不安がつきまといます。その政策には筋が通っていないものが散見されます。私たちの選択はこれで良かったのかと疑心暗鬼にもなりますが、ここはもう少し待ってみるかとかすかな期待を持ち続けたいと思っています。

とにかく、本物を見極める洞察力を自らが持たねば始まらないと覚醒させてくれる一冊です。


<福田恆存 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E7%94%B0%E6%81%92%E5%AD%98


<西尾幹二 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B0%BE%E5%B9%B9%E4%BA%8C

<備忘録>
思想は意識化された計量の他にある(P14)、あの頃の若者の死ぬ覚悟(P16)、アーレンド・レイプハルトの二つの民主主義政治(P33)、ジャーマン・マンダリン(P94)、武者小路実篤と太宰治(P116)、自由と平和(P144)、D・H・ロレンス「黙示録」「現代人は愛しうるか」(P155)、ニーチェ「悲劇の誕生」(P157)、エピゴーネン(P176)、自由とは(P184)、大東亜戦争に至った経緯(P206)、真珠湾(P208-)、雇用者報酬と営業余剰(P243)、米中の蜜月(P251-2)、資本の自己運動(P278)、小泉改革(P279)、基軸通貨ドル(P281)、日本の金融資産のありか(P283)、「来週の水曜日に帝国ホテルで会おう」という三島由紀夫の根本原理「自由と平和」(P309)、通貨バスケット(P322)


<予定が立てられるという「自由と平和」>
http://ameblo.jp/asongotoh/day-20100124.html

<名護市の選択と「自由と平和」>
http://ameblo.jp/asongotoh/day-20100125.html

<「穏健な多党制」という選択肢>
http://ameblo.jp/asongotoh/day-20100130.html


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1 コメント

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Unknown (kayuchan)
2010-02-06 16:04:00
あなたの夢は何でしょうか?
夢を考える事から一緒に始めませんか?
心に描いた夢は実現します

詳しくこちら:http://www.kdino.ws/jpdvd
ブログ:http://jpblog.chiayu.ws
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