休日だからゆっくり休めばと思っても、そこは貧乏性なのか、昼近くになると何か時間がもったいない気がして体がムズムズしてきます。先日も、そんな感じで昼前から、家内と‘新宿御苑’に出かけました。東京に長く住んでいながら、訪れたのは初めてです。東京のど真ん中にありながら、美しく整備された庭園内は、紅葉も真っ盛りで、アマチュアカメラマンと思われる方々が名所スポットと思われる場所で、渾身の一枚を目指して集まっていました。徳川家康が江戸に入った翌年、初代の家臣である内藤清成に長年の功労に報いて「馬で走らせて回れるだけの土地を授ける」と家康から拝領しただけあり、広大なものです。高層ビルを背景にまさに大都会の中にあるオアシスといえるでしょう。
ニューヨークのセントラルパーク、ロンドンのハイドパークやセントジェームズズパーク、パリのチェイルリー庭園やジャン・ド・マルス庭園など、世界を代表する大都市には、人々の心を癒す公園があります。これは、都市はある意味社会的生態系であり、公園の存在は、環境、防災、市民の心理、そして経済面など複合的効果、影響を及ぼすため、重要であるからです。ソウルでは、今 米軍の移転後の広大な龍山基地跡を利用して、ソウル版セントラルパークを建設する計画が進められています。この龍山基地跡地は81万坪にも及ぶ、世界でも例のない大都市の中心部に残された白紙状態の大地であり、この計画が実現すればまさにソウルのへそといえる中心に、漢江と南山を繋ぐ世界的規模の都市空間としての公園が誕生します。現在のところ2017年に造成工事は着工し、2025年まで3段階に分けて周辺の複合施設と共に開発がすすめられる予定です。そして米軍駐屯国である日本でも、ソウルのこのプロジェクトは無関心ではいられないかも知れません。
勿論、大都市の一等地を公園にすることには、より経済的効果を主張して異議を唱える声もあるようです。しかし公園の有無形的効果を推す声が今のところ優勢です。「愛の幸福な瞬間、そよ風の楽しさ、明るい朝に散歩して新鮮な空気の香りをかぐこと。こういったことが、人生の中にあるすべての苦しみや努力ほどの価値がないと、誰に言えるだろうか?」
(エーリッヒ・フロム)
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