梅雨がいつ終わったのかと実感する間もなく、いきなりの猛暑で寝苦しい夜を過ごしている方も多いと思います。微力ながら節電に協力という気持ちと、元々冷房が苦手であるというところから家ではクーラーはなるべく使用せず、やせ我慢の日々です。ところで暖寒は別として、昔から慣れ親しんできた季節々の趣が実感しにくいと感じるのも事実です。近年言われる気候の地球規模の変化がその要因でしょうが、月々の行事を疎かにしてきている風潮もあるかも知れません。7月と言えば「七夕」。私自身は勿論、子供たちも大きくなると短冊に願い事を書いて竹に飾ることもなく、暦の上で確認する程度になってしまいました。
日本における「七夕」の由来は、日本古代からの来訪紳信仰の一つである「棚機津女(たなばたつめ)」の行事に、中国から仏教の伝来と共に伝わった西王母伝説(せいおうぼでんせつ)にまつわる星祭だった乞巧奠(きっこうでん)が合わさって、現在の形になったと考えられています。西王母伝説には織女(織姫)と牽牛(彦星)が登場する物語ですが、日本で今伝えられている内容は少し変化しているようです。現在日本に伝わる内容では天の川の両岸の住む二人は愛し合い、西王母の許しを得て結婚をしますが、余りにお互いに夢中になる余り、織女は機を織らず、牽牛は牛を飼わなくなってしまいます。非常に怒った西王女は、織女を天の川の東側に連れ戻し、年に一度7月7日のみ会えるようにしたというものです。中国に残っている話も地域によって様々あるようですが、二人が一年に一度しか会えなくなった理由は、7日に1度会えるという言葉を7月7日だけ会えるとカラスやカササギが誤報したことが原因というものがよくあります。
韓国に伝わる七夕(チルソック)伝説にもやはりカラスやカササギは登場しますが、むしろ川を渡って二人が会えるよう集まり、自ら橋の代わりになるというところが異なります。一転悪役からヒーローですね。また韓国では七夕の日に雨が降るのは、二人が会えてうれし涙を流すからだと日本とは反対です。今年の七夕は東京はおおむね晴れでしたが、夕方ににわか雨がありました。どちらの国でも二人は無事に会えたようです。