アートの周辺 around the art

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引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

広島市現代美術館(フランシス・アリスとコドクノチカラ)

2013-12-24 | 美術館

先日、広島に行ったとき、広島市現代美術館を訪ねました。ちょうど興味を持っていた「フランシス・アリス展」が巡回されていたこともありまして。

美術館へは、路面電車で「比治山下」下車、少し山を登らねばなりません。寒かったけれど良いお天気で、木々の茂る道を歩いて行くのは気持ちのいいものです。行くのに少し手間はかかるけど、とてもまわりの環境が良いところは、マイ・ホーム・ミュージアムの滋賀県立近代美術館と似ているな、と親近感を覚えました。1989年にオープン、黒川紀章さんの設計だそうです。

フランシス・アリスは、まさに「動く」アーティストでした。この活動を紹介するには、やはり映像が大きな役割を果たします。ヨーロッパとアフリカを隔てるジブラルタル海峡を、それぞれの大陸から子どもたちが列をつくって橋のように繋ごうとした壮大なプロジェクト「川に着く前に橋を渡るな」、向かい合わせの2面の大きなスクリーンでは、子どもたちが無邪気に浜から海に向かって歩きだすのだけど、深みに進んでいくほどに波が押し寄せ、その音にもめっちゃ迫力があって、その子どもたちと同じ体験をしているようで、楽しいような、ちょっと怖いような…。

一番ビックリしたのは、「トルネード」という映像。少し先で竜巻が起こっているんだけど、当然ふつうは逃げようを思うところを、何と!カメラは竜巻に向かって突進していくんです!竜巻の根元を探るかのように、カメラごと突入し、そして一瞬もみくちゃにされたりして、スゴイ迫力です。それも一回きりじゃなくて、何度も何度も向かっていくのだから恐ろしい~。よく生きて帰ってこれましたよね。何だか「勇気」「勇敢」とかっていうより、「好奇心」「無邪気」みたいなもんが、映像からあふれてて、「こんなの見たことない!」と心底驚きました。この作品のお部屋、もう少しで見逃しそうだったのを、スタッフの方がご親切に教えてくださいました。ありがとうございました!

不思議な魅力に充ちた作家でしたね~。すごく地球に根ざしているようなスケールの大きさと、何でもない行為をとらえる日常感と、表現の仕方の詩的な感じが融合しているようで。映像が多かったので、もう少し時間をかけてゆっくり見たかった気がします。

続きましてコレクション展も鑑賞。「コドクノチカラ」と題し、国内外の現代作家の作品が展示されていました。入野忠芳さんや殿敷侃さんなど、やはり地元、広島出身の作家にとって原爆は重いテーマ。当事者の表現がそこにはある、と思いました。

他にもけっこういろいろな作家の作品があって、楽しめます。草間さんやフランシス・ベーコンも見れましたし、アバカノヴィッチのデッサンも初めて見て、興味深かったです。アバカノヴィッチの彫刻は屋外にも並んでましたね(寒そうだった…)。現代美術だけで戦うのって、けっこう大変だと思うのですが、ぜひぜひ頑張ってほしいです。

「フランシス・アリス展」は来年1月26日(日)まで、「コドクノチカラ」は2月23日(日)まで。 


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