アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

『芸術起業論』 村上隆

2009-05-16 | 
『芸術起業論』 村上隆(幻冬舎 2006年)

 作品のオークション価格が億単位となったのが話題となり、六本木ヒルズのキャラクターや、ルイ・ヴィトンとのコラボでも知られる村上隆は、いまや日本を代表するアーティストです。
 その作品を感覚的な「好き」「嫌い」という目でみると、意見は分かれるところでしょうが、アート的な体験と捉えると、同時代を生きるものとしては、とても興奮するものがあります。ルイ・ヴィトンのバッグは興味なかったけど、店頭で飾られていた風船は欲しかった…。
 
 この本を読むと、彼が美術の「日本的」な枠を飛び越え、世界と勝負するために、ビジネスとして成り立たせる努力をいかにしてきたか、ということがよく理解できます。その姿勢は、「日本国内」では、批判の対象にもなるのでしょうが、実際、彼の作品は高値で取引され、その価値は「それが、どうした!」とばかりに、世界で十分評価されているのです。
 彼は、世界と勝負するためにそうした戦略を取ってきたのですが、私は逆に日本で「世界に通用する」と認められる唯一の方法だったとも思います。評価軸は「金額」か「外国の目」か、という…。

 美術、芸術って何て難しく(難解という意味じゃなく)、それなのに魅惑的な存在なのでしょう…。
 こんなに成功してもいまだに「怒り」を抱き、とても冷静な客観的な眼を持っている村上隆さんの仕事を、これからもアートファンとして見定めたいと思いました。

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