歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

サバール『ビクトリア/モテット集』

2009年06月26日 | CD 中世・ルネサンス
Tomás Luis de VICTORIA
Cantica Beatae Virginis
La Capella Reial de Catalunya
HESPÈRION XX
Jordi Savall
E 8767

1992年録音。54分50秒。ASTRÉE/AUVIDIS。有名な"Ave Maria"や"O magnum mysterium"を含むビクトリアのモテット集。声楽12人、ビオール5人、管楽器5人、オルガン1人がクレジットされています。

これはアストレからリリースされたと知った直後に入手したものです。わたしにとって待望の「サバールのビクトリア」でした。なにしろスペイン勢によるビクトリアが聴きたくてたまらなかったのね。

ビクトリアにしては洗練された感じの演奏。しかしそこはさすがにサバールで、ビクトリアの音楽の、あたかも大地から沸きあがってくるような骨太な情動を生かしつつ、洗練度を高めている。楽器が入るおかげで変化がついて、個性的でありながら同時に万人向けのビクトリアになっていると思います。ラ・カペラ・レイアルは女声が暗めの声なので、全体がつや消しされたような音色になるんですが、これがビクトリアによく合っています。

ビクトリアの演奏というと、タリス・スコラーズとかザ・シクスティーンとか、わりと最近ではマニフィカトだとか、イギリス勢の録音に注目が集まりがちで、たとえばザ・シクスティーンの『レスポンソリウム集』は悪くない演奏だとわたしも思います。しかし、ビクトリアについてはなるべくスペイン勢で聴きたいです。イギリス人のビクトリアはさらりとしすぎていて、ビクトリアらしいねっとりとしたコクに欠ける。

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