歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

「アル」敬語と「イル」敬語

2008年06月14日 | 気になることば
■「余震が発生してございます」がダメな件、わかりました。「ございます」というのは「アル」系の敬語だから、ここにはそぐわないんですな。その証拠に「余震が発生してアリマス」なんて言わないもんね。ここは「アル」敬語ぢゃなくて、「イル」敬語を使うべきなのよ。つまり日本語では「発生してアル」ぢゃなくて「発生してイル」というのが当り前だってことね。そして、「オリマス」というのは「イル」系の言葉だから、われわれは「発生してオリマス」という言いまわしに納得するのね。

■つまり「います」と「おります」とは互換性があるけど、「います」と「ございます」とは互換性がないってことですね。

■そういえば互換性ってことばを、パソコン業界では何だか変な意味で使うでしょ。あれは困ったもんですね。英語から翻訳するときに、だれだか日本語の感覚の鈍い人が、うっかり「互換性」なんて訳し間違えたんでしょうね。

「余震が発生してございます」

2008年06月14日 | 気になることば
■今朝の岩手と宮城の地震について、朝10時半からの気象庁の記者会見をNHKのラジオで聴いていたんですが、この気象庁の担当者某氏、語尾がほとんど「ございます」ばかり。「余震が発生してございます」「緊急地震速報を発表してございます」「資料を出してございます」「可能性が高いと考えてございます」などなど…。いい歳の大人がなんだそりゃ、とも思いますが、まあ緊急のことですからね。情状酌量の余地は「ございます」。もしかしたらこの人は、ふだん研究ばかりやっていて、あまり敬語を使う機会がないのかもしれません。わたしもどちらかというとアガリ症なので、人と話すときにふだんからわりと多めに敬語を使うようにして、アガりそうなときに言葉に詰ることがないようにと心がけています。

■わたしなら、上にあげた例だとそれぞれ「余震が発生しております」「発表いたしました」「資料を出して(お出しして)おります」「考えております」と言うかな。

■あー、しかしなんで「余震が発生してございます」はダメなんですかね。よー分かりませんわ。いえね、「考えてございます」がダメなのは分かりますよ。考えてるのは彼自身だからここは謙譲語ぢゃないとダメで、当然「考えております」とあるべきところ。でも「余震」の場合は? これって謙譲語を使う必然性はないですよね。ぢゃあ丁寧語の「ございます」でもよさそうな気もしますが、「余震が発生してございます」は無理。すくなくともわたしには使えません。

■「余震が発生している」を敬語を使って言おうとすると、「余震が発生しています」でもいいんですけど、記者会見のような改まった場ではこれだとちょっと軽いんで、「発生しております」と言うしかないと思います。もともと「おる」は謙譲語なんですけどね。でも「おります」については、丁寧語としての使い方も辞書に載ってます。

■ところでこの地震についての報道のため、月一回の「折りこみ都々逸」の時間が休止になってしまいました。地震報道はもちろん大事なことなので仕方ないんですが、よりによってこの日に地震起こるなよ。というか午前中の段階で、すでに亡くなった方も複数出ていると伝えられています。こんな被害の出る大地震はほんとにもうかんべんしてください。