千住の「宿場通り商店街」のバナーに惹かれて富嶽三十六景の現場を訪ねたのは1月のことでした。
例によって説明を転写します。
東海道品川御殿山ノ不二(とうかいどうしながわごてんやまのふじ)
東京都品川区北品川三~四丁目
東海道に面した御殿山には、将軍家の品川御殿が置かれ、その後桜の植樹が行われ、富士と桜が一緒に楽しめる名所となりました。
花の盛りのころには、敷物を広げて宴を催す人、扇を広げて舞う人たち、子供を背に花見を楽しむ夫婦など、今も変わらない風景です。
画面右下の小僧の担ぐ風呂敷に、版元西村屋の商標(山形に三つ巴)があります。
画中の人物のしぐさや隠された図像や文字に目をこらすのも北斎画の楽しみ方です。
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御殿山の訪問はこの絵のような桜の季節に取っておこうと思っていたら、緊急事態宣言が発出されて、特に花見の外出が制限されました。もちろん現在も緊急事態宣言が延長されている東京ですが、密にならない状況であることを確かめて訪問しました。
国道15号線と京急本線の向こうに銭湯が在る交差点です。この背後の路から行きます。
「御殿山通り」を行きます。
山ですから当然坂道です。
JRの線路を跨ぐ坂です。
覗き込むと新幹線が疾走しています。
こんな案内がありました。目的地のようです。
木漏れ日で薄暗い桜の路を行きますが、どこで葛飾北斎が描いたのか見当がつきません。
視界が開けたのは「御殿山交番前」です。上ってきた御殿山の西端です。つまりこの間のどこかです。
現在の御殿山は高級住宅街です。
冒頭の「説明」の所在地は、東京都品川区北品川三~四丁目です。街を走ります。
ここで思い出したのが冒頭の絵です。つまり、山の端に行って当時富士山が見えた場所を探すことにしました。山の南端の公園にこんな案内書がありました。
「御殿山」の説明もありますが、葛飾北斎富嶽三十六景の説明はありません。
新緑の崖です。
富士山の方角は高層ビルに隠されています。
ちょっと移動して別の崖に行きます。
あの方向が富士山です。北斎の絵は、この山も含めた富士山を望む花見の光景ですが、まあ、感じは掴めました。
さて、山を巡る途中にこんな塀がある路に行き当たりました。この景色、記憶があるように思いました。
塀沿いに行くと閉ざされた門に来ました。
そうなのです。ミャンマー共和国大使館でした。前回も門は閉ざされていました。
数年前に企画した「大使館を訪ねて」シリーズで訪れた場所です。新緑の下で好い雰囲気です。
現在この国は軍事クーデターによって国軍が国会を掌握していて、民主主義が破壊されようとしています。対国民だけでなく、ロヒンギャ族に対しても迫害が続いている危険な国情です。
こんな場所が葛飾北斎と繋がっていました。
なお、前回ミャンマー大使館を訪ねた記事はこちらです。参考まで。