◇
初老のアメリカ人
ジャック・レモンが
昔、第二次大戦で
兵隊としてイタリアへ行って
そこの娘と恋に落ちる
◇
でも戦争が終わると
彼は当然の様にアメリカへ
帰ってしまい
そこで人生を築き
出世して悠々
このたび
イタリアを訪れる
◇
空港に変なやはり初老の男がおり
それはなんと
そのイタリアの彼女の
兄マストロヤンニだった
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マストロヤンニは
彼に去られた
妹をおもんばかって
なんとしたことか
彼の名をかたって
妹に手紙を出し続ける
『元気か僕は今世界中をまわって…』
□
そんなことが
良いはずもなく
彼女は
いまだ何十年
彼を思い続けている
□
仰天して
彼、ジャック・レモンは
彼女に会いに行ってみると
鉄柵の外階段を
まさに降りてきたのは
堂々たる威厳の
中年女性である
□
ここにおいて
彼女のその数十年が
脳裏に映る
朝起きて
顔を洗って身づくろいをして
朝食を食べ
おそらく勤めにでかけ
夜、家に帰って
彼からの
ジツはウソの兄の書いた手紙を読む
□
その何十年の
繰り返し
何千回の食事
何千回の身づくろい
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□
そして映画は
色々アクションもあり
結着して
海岸でやっと心うちとけてすわる
マストロヤンニとレモン
□
そしたら何と
マストロヤンニが急に
具合がわるくなり
死んでしまうんだ
□
あわてて家族のもとに
運んだら
お母さんがまだ健在で
この子は
前にも一度死んだことがあるの
と
子供の時
そのとき生き返ってくれたらと
足にベルを繋いでおいたら
随分たってから
ベルは鳴って
この子は生き返ったと
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それで丁度
クリスマスの夜なんだ
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祈りを込めて
家族みんなとレモンが
見守って
生き返るのを
待つんだ
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その時
映画はエンディングに入ってしまい
カメラは部屋から出て
石造りの建物の
外を映すんだ
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最後
ベルの音は
鐘の音は温かく響いて
めでたし
ハッピーエンドに
なるんだが
でもそれ
クリスマスの鐘の音か
彼のベルの音かどうかが
分からないんだよなあ
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むかし
テレビでこれを見て
タイトル分からず
気になって
友人だった禁ちゃんに
聞いたっけ
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禁ちゃんは
いつもの様に
短く
『マカロニね』
と答えてくれたっけ
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マストロヤンニが
良くてねえ
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印象に残った
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彼ら
初老
六十歳くらいかなあ
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妹を捨てて行ってから
数十年
なんだよな
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なんだか
いまだに気になって
離れないんだ
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なんとかならないか
あの三人
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