お皿の中央に
黄色いズッキーニ
半分切り
◇
つぶらなひとみ
◇
顔に見える
幼い子
◇
左の
肉塊にも
黒いポツン点があって
顔に見える
◇
『肉のおばちゃん』
みたいだ
◇
◇
「あんた、こっちへおいで」
◇
「ほらどうした、いやなこと
あったかい」
◇
「ああ、泣いていいんだよ」
◇
「そうかい、そうかい
存分にお泣き」
◇
「もういいかい
気が済んだかい」
「うん、おばちゃん
ありがと…」
◇
◇
そして
この子は去って
かなしく
去って
◇
肉のおばちゃんと
様子を見ていた
右の肉のおばちゃん仲間が
心配して話す
◇
あの子
だいじょぶかねえ
◇
そうだねえ
自分で
切り抜けて行くしか
ないからねえ
◇
まあ
私に
食べられちゃった
んですけどね
◇
◇
泣いて
気が済んだ
ですかね
◇
聞いてもらえれば
かなしい荷物も
軽くなる
◇
顔を
埋められる
肉のおばちゃん
◇
きっと
いてくれるよ
どこか
普通に
思わぬところにねえ
◇
◇
このパンの
虫ちゃんも
庭でコロコロ
遊んで
いたのだろうに
◇
◇
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