新・本と映像の森 45 武谷三男編『安全性の考え方』岩波新書、1967年
岩波書店、227ページ、
公害問題、放射能の問題も含めた汚染問題を具体的に学ぶための基本図書のひとつ。
ひとつひとつのリアルな問題をテーマに、科学的とは、どういうことか、真の安全せいとは何かを考える。
原発反対運動と放射能論争にも非常に役に立った。
たとえば「許容量」について、こう書いてある。
「許容量とは、利益と不利益とのバランスをはかる社会的概念である」(p123)
「「許容量」というものが、害か無害か、危険か安全かの境界として科学的に決定される量ではなくて、人間の生活という観点から、危険を「どこまでがまんしてもそのプラスを考えるか」という、社会的な概念であることがはっきりしたのである。」(p124)
「まして、原水爆実験の死の灰の灰に“許容量”などという概念が存在しないこともはっきりしたのである。」(p124)
若い頃に買った本で、現在は絶版だが、アマゾンで古書を買える。
1 主婦のちから【プラスチック食器問題】
2 小児マヒと母親
3 水俣病
4 公害の街・四日市
5 三島・沼津市民の勝利【コンビナート反対闘争】
6 三井三池の悲劇【1963年の炭鉱大災害のその後】
7 白ろう病【林業労働者の職業病・振動障害】
8 原子力の教訓【許容量の考え方、京大関西原子炉反対運動】
9 薬の危険性
10 加害者と数字【数値の素性、数値の解釈、実験条件の違い】
11 「原因不明」のからくり【1854年のロンドン・コレラ対策】
12 法律の限界
13 安全性の哲学
あとがき