雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 265 川瀬七緒さん著『シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官』講談社

2014年01月05日 19時35分46秒 | 本と映像の森

本と映像の森 265 川瀬七緒さん著『シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官』講談社

 浜松市図書館で予約本を借りに行ったとき、偶然、司書さんの後ろで返却本の棚で、背表紙が「私を読んで」と「呼んで」いたので、司書さんに「それ、借りれますか?」と聞いて借りた本です。

 ウソです。年末の日曜日の新聞の新刊本コーナーで紹介されていたので、タイトルを覚えていました。

 読み始めて、おもしろくて一晩で読み終えました。

 メイン主人公は、3人組で、東京都南葛西警察署の月縞刑事(27才)とたぶん・警視庁の岩館警部補、そして生物学者で「法医昆虫学捜査官」の赤堀涼子(36才、「年齢不詳のあどけなさ」)です。

 昨年は、「男性物理学者ガリレオ」と女性刑事の2人コンビでしたが、今回は女性生物学者と男性刑事2人の3人コンビです。

 しかも赤堀さんは湯川さんと同じ「准教授」です。

 東京での事件は南葛西署管内の貸倉庫から女性の腐乱死体が発見され、その司法解剖がおこなわれた9月4日午後3時20分から始まります。

 この女性は、いつどこで殺されたのか?前の事件()で赤堀准教授の生物学的推理で事件を解決できた岩館警部補は、今回もこの生物学者の頭脳とカンに頼ることになります。

 赤堀が推測した「死体にたかる生物の生態系」によって、赤堀は近くの蟻の巣を捜索し、「ヤゴのカラ」を発見します。

 赤堀が顕微鏡で推定したそのヤゴは、なんと「ハッチョウトンボ」、うわ!ぼくは喜んでしまいました。懐かしいハッチョウトンボ。もちろん浜松にも居ますよ。その生息地は極秘です。だって「虫マニア」が来て乱獲しちゃいますから。

 もう今は、ぼくは「ハッチョウトンボ」の飛ぶ里山は、縁もゆかりもない過去の世界です。胸が痛みますが、またいつか、あの世界に戻りたい、というのは、誰にとっても「見果てぬ夢」「けっして成就することのない夢」ですよね。

 このハッチョウトンボが事件を解決する鍵であり、道程です。

 この道筋を刑事2人と生物学者の3人コンビが追いかけます。

  ☆

 平行するもう一つの田舎のサブ主人公3人が、都会から逃れてF県「青波(あおば)郡枯杉(こすぎ)村、人口800人の村にやってきた「生身の女が苦手な」、人形作者・芸術家・藪木青年(29才)と、藪木に離れを貸したタエおばあちゃんと、旧家の美女・日浦瑞希(24才)です。

  ☆

 いったりきたりする「大都会」と「田舎」の2つの世界が最終盤で、都会の3人組が「昆虫マニア」をステップにして、田舎に向かい、クライマックスを迎えます。

 そして「シンクロニシティ」の意味も明かされます。

 シンクロニシティとは、心臓を持たない人形を作る藪木青年と、別の心臓との鼓動の一致です。

 キーワードは「心臓」で、心臓を巡る歓喜憎悪が、この事件を引き起こしたのです。

  ☆

 それにしても36才の赤堀准教授、魅力ありすぎ。できましたら月縞刑事(27才)と次回作か、次々回作で、夫婦にシテ欲しいです。

 11才年上?そんなこと問題じゃないです。ぼくは結婚前に則子さんの年齢を聞いて「3才上?」、「13才上でもいいです」と思いましたから。

 年齢不詳の則子さんは、たぶん人魚を食べて不老不死になった伝説の「八百比丘尼」のように、普通の人間の夫と結婚して夫が老衰して死ぬまで寄りそい、次の夫を捜すのでしょうから。