「NHK夏休みこども科学電話相談」と言うラジオの番組があります。自動車に乗った時しか聞きませんが面白い番組です。質問の冒頭部分を聞けなかったので質問の内容はわかりませんが「昆虫のセミ」についての質問だったようです。回答の先生は「芭蕉の(しずけさや いわにしみいる せみのこえ)」の「セミ」が「何ゼミか?」と言うことを説明していました。
この句は、芭蕉が山形県の立石寺で読んだものですが、山形出身の歌人・斉藤茂吉が「アブラゼミ」だと言う説を唱えると文芸評論家・小宮豊隆は「ニイニイゼミ」説を唱え、セミ論争が文学界で起こりました。岩波書店の社長・岩波茂雄がこの論争に決着をつけようと当時の名立たる文人を集めて議論をしたそうです。小宮豊隆は「ニイニイゼミ」説は「閑さ、岩にしみ入るという語はアブラゼミに合わないこと」、「元禄2年5月末は太陽暦に直すと7月上旬となり、アブラゼミはまだ鳴いていないこと」を理由にしていました。そこで、斉藤茂吉は翌年、芭蕉が句を詠んだのと同じ時期に立石寺に行くと、確かに「ニイニイゼミ」しか鳴いていなかったことから、この論争は「ニイニイゼミ」で決着したそうです。また、この句で鳴いているセミの数が論争の対象になっているようなことも聞いたことがあります。
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
この句は、セミ論争以外にも「閑さや」の読み方にも論争があるそうです。「閑さや」=しずけさや OR しずかさや、「しすけさや」か「しすかさや」皆さんはどちらだと思われますか・・・・?
山形のセミと言えば西沢周平の名作「蝉しぐれ」があります。文四郎と福が聞いた「蝉しぐれ」は「何ゼミ」だったのでしょうか?
「中国のセミ考」(ゲインズ・カンチー・リュウ)と言う本があります。著者のリュウ博士については詳しいことは分からないそうですが、中華人民共和国建国当時には既にハーヴァード大学に在籍する中国系アメリカ人のようです。この本は欧米では非常に高い評価を得ているそうです。欧米人は勿論日本人でも、しかも自然科学分野の人には「漢文・古文」また「中国の民俗・歴史」に疎く近寄りがたいものがありますが、この本(原本は英語で書かれており・Cicadas in Chinese Culture)で得難い情報を多く提供されたためです。著者自身も「一般の昆虫学者にとってはさして興味のわくものではないかもしれない。しかし、中国の科学史や中国文明に興味を持っている人にとっては、おおいに役立つであろうと自負している。これは本来中国の昆虫の歴史であるが、中国の人々を研究するには、この昆虫史は中国皇帝史よりはるかに有用であろう」と述べています。
この本は発行部数も少なく入手は非常に困難な希少本です。Book Offで100円で売られているのを発見して購入した時は「宝くじ」に当たった喜びがありました。大変面白い本です。全文を紹介したいのですがせめて「目次」だけでも紹介しておきます。
この句は、芭蕉が山形県の立石寺で読んだものですが、山形出身の歌人・斉藤茂吉が「アブラゼミ」だと言う説を唱えると文芸評論家・小宮豊隆は「ニイニイゼミ」説を唱え、セミ論争が文学界で起こりました。岩波書店の社長・岩波茂雄がこの論争に決着をつけようと当時の名立たる文人を集めて議論をしたそうです。小宮豊隆は「ニイニイゼミ」説は「閑さ、岩にしみ入るという語はアブラゼミに合わないこと」、「元禄2年5月末は太陽暦に直すと7月上旬となり、アブラゼミはまだ鳴いていないこと」を理由にしていました。そこで、斉藤茂吉は翌年、芭蕉が句を詠んだのと同じ時期に立石寺に行くと、確かに「ニイニイゼミ」しか鳴いていなかったことから、この論争は「ニイニイゼミ」で決着したそうです。また、この句で鳴いているセミの数が論争の対象になっているようなことも聞いたことがあります。
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
この句は、セミ論争以外にも「閑さや」の読み方にも論争があるそうです。「閑さや」=しずけさや OR しずかさや、「しすけさや」か「しすかさや」皆さんはどちらだと思われますか・・・・?
山形のセミと言えば西沢周平の名作「蝉しぐれ」があります。文四郎と福が聞いた「蝉しぐれ」は「何ゼミ」だったのでしょうか?
「中国のセミ考」(ゲインズ・カンチー・リュウ)と言う本があります。著者のリュウ博士については詳しいことは分からないそうですが、中華人民共和国建国当時には既にハーヴァード大学に在籍する中国系アメリカ人のようです。この本は欧米では非常に高い評価を得ているそうです。欧米人は勿論日本人でも、しかも自然科学分野の人には「漢文・古文」また「中国の民俗・歴史」に疎く近寄りがたいものがありますが、この本(原本は英語で書かれており・Cicadas in Chinese Culture)で得難い情報を多く提供されたためです。著者自身も「一般の昆虫学者にとってはさして興味のわくものではないかもしれない。しかし、中国の科学史や中国文明に興味を持っている人にとっては、おおいに役立つであろうと自負している。これは本来中国の昆虫の歴史であるが、中国の人々を研究するには、この昆虫史は中国皇帝史よりはるかに有用であろう」と述べています。
この本は発行部数も少なく入手は非常に困難な希少本です。Book Offで100円で売られているのを発見して購入した時は「宝くじ」に当たった喜びがありました。大変面白い本です。全文を紹介したいのですがせめて「目次」だけでも紹介しておきます。