馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

年末年始の過ごし方。

2013年12月30日 | 日記
今年も残すところあと1日になりました、とテレビ・ラジオでヤケに慌しさを煽り立てますが、当方としては別段普段と何も変わることのない毎日です。強いて困ることといえば、帰省ラッシュで高速道路が混むので気休めのドライブができないこと。また、テレビの番組が特番とかいうクソ面白くもないものばかりになってしまうことです。
 年末年始の1週間をどのように過ごすか考えた挙句、仕方なしに本でも読んで過ごすか・・・・。という事で、阪急梅田の古本屋街・かっぱ横丁を覗いてみました。
ここしばらく「断・捨・離」でもないが本をできるだけ買わないよう心がけています。が、馴染みの古書店で物色しているとダンボールぎっしりと詰め込まれた資料を見つけました。その資料は戦後も間もない頃の「徳島県那賀郡木頭村」の民俗調査のもののようで、現地での聞き取り調査をした時の手書きのノートや地図、スケッチ、また黒白の写真などが貼り付けたノート。また、ガリ版スリの調査報告書・・・・。阪神間にある私立の名門大学のその世界では有名だった社会民俗学者のフィールドノートのようです。この木頭村から高知県にかけの四国山地は、現代化の社会から隔絶された処でつい最近まで近世の山村生活が維持されていて、昭和の40年代まで焼畑農業が行われていたところです。
 馴染みの店主が「要るのなら持っていけョ」と言います。3年前に大量に持っていた「農村民俗資料」を処分したので、まあ未整理の紙クズを持ち込めば元の木阿弥になってしまうし・・。店主が「置いていても邪魔になるだけで、捨ててしまう」と言う。如何にも勿体ないし・・・、と逡巡していると「家に送るからサ。要らなきゃそちらで処分してよ」と言う。今日30日、宅急便だと明日の午前中に着くらしい。どなたのブログか定かでないのですが、「断捨離」はストレスになるという意味のことを書かれていました。確かに。「断捨離」は手段であって目的ではないのです。この頃、手段の目的化が多くなって世の中がおかしくなっています。手段が目的になることを「変態」と呼ぶそうです。世の中「変態」に満ち溢れているようです。当ブログもその1人か?と苦笑いしかありません。
丸善・ジュンク堂に寄りました。「断捨離」の呪縛が解けたのか久々にここ1週間分の本を購入しました。

「ミツバチの会議」トーマス・D・シーリー著 築地書館自然科学に興味のある人だけではなく企業経営関係者にも話題の本だそうです。
「昆虫未来学」 藤崎憲治著 新潮選書
「ミツバチの不足と日本農業のこれから」 吉田忠晴著 飛鳥新社
「風の中のマリア」 百田尚樹 講談社
「日本の珍地名」 竹内正浩 文春新書
「大本営参謀は戦後何と戦ったのか」 有馬哲夫 新潮新書
 これで何とか年末年始を退屈しなくて過ごせそうです。





取り付く暇がない?

2013年12月29日 | 雑学
知人から12月21日(土曜日)の北海道新聞夕刊の切り抜きが送られてきました。知りたかった記事の切り抜きは大変興味深く参考になりました。その記事と同じ紙面に「校閲の赤えんぴつ」というコラムがありました。
 このコラムを担当した記者の奥さんが「取り付く島がない」という慣用句を「取り付く暇がない」と思い込んでいた、という書き出しです。
当ブログは「取り付く暇がない」という表現があることは全く知りませんでしたので「オヤ?」と興味を持って読みました。
文化庁の「国語に関する世論調査」に関連した話題です。当ブログは今までに何度か「国語に関する世論調査」を取り上げてきました

「取り付く島がない」とは「つっけんどんで相手を顧みる態度がみられないこと」という慣用句です。所が文化庁の調査では「取り付く島がない」が48%、「取り付く暇がない」が42%とほぼ半々で使用されているそうです。
「取り付く島がない」の元々の意味は「頼りにして取すがる手がかり(島)がないこと。それが転じて、相手の言動が冷淡であるため近づこうにも近づけず、どうすることもできない意味になった」(新語源辞典)とあります。
 問題は「島」という語の用法です。広辞苑によると「島」には「頼りになるものごと」「よすが」という意味があるそうで、「取り付く島がない」の「島」はこれに該当します。ですから「取り付く暇がない」ですと慣用句の意味を成さないことになります。この間違いは「し」と「ひ」の混同から起こったと言われています。しかし、半数近くの人が「取り付く暇がない」と思い込んでいるようですから使用する側も「つっけんどん」した態度ではなく相手をおもんばかりながら使用する必要がありそうです。

 このコラムでは他に「伝家の宝刀」(55%)と「天下の宝刀」(32%)。「的を射る」(52%)「的を得る」(41%)などがあるとしています。



姓は車、名は寅次郎、 人呼んでフーテンの寅と発します。

2013年12月23日 | 映画
テレビ東京系列で毎週土曜日に「男はつらいよ」を第1作から順次放映しています。今週は寅さんにとって運命のヒロイン「リリー」が登場するシリーズ第11作目「寅次郎 忘れな草」でした。当ブログでは浅丘ルリ子が演じる歌手りりーの名前を取り上げたことがあります。「それがどうしたの?」と言われれば返答に窮するのですが・・・。
 処で「寅次郎」という限り「寅さん」は次男ということになります。そこで改めて寅さんの家族関係をネットで確認しました。寅次郎の父親・車平造にはの妻との間には男女1人ずつと芸者菊との間に生まれた寅次郎の3人の子供がいます。女の子は「妹さくら」です。平造と正妻の間に生まれた男子が寅次郎の腹違いの兄です。という事で寅さんは名前の示す通り次男ということのなります。因みに平造と妻は第1作で写真だけの登場だそうです。そして腹違いの兄・竜一郎は大学を中退して働いていたが、釣に出かけて不慮の事故で亡くなったそうです。
 さて、寅次郎という名について、腹違いの兄が「竜一郎」なので「龍虎」に因んで次男には「トラ」を付けたとか、山田洋次監督の大先輩・喜劇映画の大御所斎藤寅次郎に敬意を表した、など諸説があるようです。ただ、「男がつらいよ」シリーズが大ヒットして車寅次郎が評判になった頃、斎藤監督が名前を「寅次郎」から「寅二郎」に変更したことを知り、「気を悪くされたのではないか」と心配して山田洋次監督と渥美清が一緒に斎藤宅行ったところ、「いや、戸籍と同じに戻しただけだよ」と答えたとの逸話があるそうです。斎藤寅次郎監督は四人兄弟の二番目で、兄弟の名は順番に寅一郎、寅二郎、寅三郎、寅四郎なんだそうです。
 寅さんの姓である「車」は、寅さん役の渥美清が東京府東京市下谷区車坂町(現・東京都台東区上野七丁目)で生まれで、「車寅次郎」のという役名は渥美の生誕の地である「車坂」から付けられたという説もあります。

「旅芸人のいた風景」(沖浦和光著 文春新書)という面白い本があります。
 


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寅さんの職業は「テキヤ」で、全国各地の繁華の場所で品物や占い稼業を生業としています。客集めのため「啖呵売」をしています。これらの人々は江戸時代には厳格な支配体制に組み込まれていました。香具師(ヤシ=薬売り)・テキヤは車善七の支配下にありました。沖浦和光はこのことを山田洋次が知っていて寅さんの姓を「車」にしたのではないか、との言われています。

 余談ながら沖浦和光の本は大変面白いものです。彼の著作は昭和30年以前、日本中に弥生の昔から脈々と生き続けている日本社会の基層、決して正史には出てこない庶民の生活が活写されています。 
特に「旅芸人のいた風景」は、沖浦が幼少期は箕面、少年期以降は天下茶屋・田辺で過ごしたことから、身近に体感できる生活空間の懐かしい風景が綴られていて大変面白い読み物ですから一読をおすすめします。


シラミ地蔵異聞

2013年12月18日 | 歴史
毎月2回箕面ウォークが行われています。当ブログはお見送りとお迎えに参加することはありますが、みなさんと一緒に歩くことはありません。そのくせ箕面の地名、旧跡や土俗などを怪しげな解説などするもので「解説おじさん」なる呼称を頂戴してしまいました。
この会に参加されている或るご婦人が「解説おじさん」の話は、仲間の皆さんにはあまり信用されてないようだから「お止めになった方が・・」がと密かに忠告して頂きました。
 
12月の納のウォークは、短距離でもあったので久しぶりにウォーキングに参加しました。コースは勝尾寺巡礼道をウツギ谷でUターンして勝尾寺に戻るごく短いものでした。
このウツギ谷に「シラミ地蔵」があります。先達さんの解説では「シラミ地蔵」の名前の謂れは幾つかあるそうです。
主なものは、「夜明け前の暗いうちに麓を立って、この辺まで登ると空が白んでくるから」とか「この辺まで登ると汗ばんできて、背中の虱(しらみ)が動き始めて痒くなるから」或は「地蔵ではなく観音である。虱のことを隠語で千手観音と云うからだ」と・・・・・・。中には「何か抱いているように見えるからマリア観音だと云って、隠れキリシタンの信仰に結び付ける説」があります。
箕面を中心にこの北摂の山には、多くの磨崖仏がありますが、その中に比較的多く十字紋が掘られた磨崖仏が有り、人によってはキリシタンの影響を指摘する人もいます。能勢の妙見のシンボルマークも十字紋であることもよく言われることです。

 話が脇道にそれましたが「シラミ地蔵」の名前の謂れは、土俗・民俗・習俗など民俗学に興味を持つ人であればそれ程難しい話でもないのです。簡単に結論から言いますと「シラミ」⇒「白巳」即ち「白蛇」のことです。ですから「シラミ地蔵」や「シラミ○○」というものは各地に存在します。
有名なものでは琵琶湖竹生島宝厳寺に祀られている「白巳大神」などがあります。資料を引っ張り出すのも厄介なので詳しい分布は省略しますが、八尾市の御縣主神社や八尾市垣内の善光寺に「シラミ地蔵」があります。要は箕面ウツギ谷の「シラミ地蔵」というのは固有名詞ではなく「水神信仰」にまつわる「白蛇」のことです。そして、多くの場合は「シラミ地蔵」の前で「雨乞い」が行われたとされています。

 随分昔の話ですが、北摂の歴史・民族を調査したことがあります。リーダーは箕面市歴史民俗感の初代館長の島田さんで、このころ北摂一帯を歩き回ったものです。この時「シラミ地蔵」に関して「水神信仰」と月並みの結論を出したのですが、私は異論を唱えたものです。「シラミ地蔵」があるウツギ谷の近辺に「水神信仰」を窺わせる要素が全く無いからです。
勝尾寺の巡礼道には多くの巡礼者が行き来しました。現在とは違って巡礼者といっても不治の病を巡礼で回復を願った者、その日暮らしの乞食行者、漂泊の流民、・・・などほとんどであったわけで、街道筋には人知れず行き倒れる巡礼者は珍しくなかったのです。
その不遇の死を悼んで村民が慰霊のため石を刻んで追悼したのが「シラミ地蔵」の本来の姿であったと思います。それが、何らかの事情で「シラミ地蔵」の説話と習合したのではないかと思っています。

説明おじさんの怪しげなお話はこれでオシマイ。






絵画展・・・・老の追憶。

2013年12月16日 | 日記
阿倍野筋:南から眺めた天王寺駅。

江原和足先生の個展が池田市のVEGAで開かれています。毎年この時期に池田市が企画し開催されている展覧会です。
  
  
阪急三宮駅  阪急箕面線桜井駅  伝法駅

江原先生は、昭和の懐かしい風景、各街道筋や鉄道路線風景などを描かれています。その素朴で懐かしい絵は多くの雑誌に取り上げられて根強い人気になっています。

      
掲載雑誌の1つも時流に押され廃刊が決まったものもあります。先生とのお付き合いも随分と長くなりました。老境と言われる年齢になられた今、つい数週間前にはともに北摂の文化活動でともに活躍した戦友とも言う書家が他界し、その葬儀では人目を憚らず号泣されました。今日、集まった仲間たちも80歳以上の齢を重ねた人たちばかりです。
「これが最後かも知れない」とお互いに冗談を言い交わすのも本当に最後かもしれません。


「キャプテン・フィリップス」を観ました。

2013年12月13日 | 映画
2009年、ソマリア海域で実際に起こった海賊船によるコンテナー輸送船襲撃・人質事件を描いています。この事件は当時日本国内でも話題となり、自衛隊の海外派兵問題で大きな議論にもなりました。当然アメリカ国内でも話題となり救出されたリチャード・フィリップス船長夫妻は、オバマ大統領とホワイトハウスで面会しています。
結末が分かっているだけに物語により真実味が求められます。そういう意味で主演のトム・ハンクスの演技よりも、海賊たち、特にリーダ役のバーカッド・アブディのリアルな演技は迫力そのものです。
リーダ役(ムセ)海賊を演じた人たちは、実際現地の海賊たちを連れてきたのかと思えるほどですが、全てアメリカのソマリア人移民をオーディションで選抜したそうで、リーダ役(ムセ)を演じたバーカッド・アブディも全くの演技未経験だったそうです。
もし、この作品がアカデミー賞を獲得すれば、間違いなくバーカッド・アブディは助演賞を取るでしょう。
 アメリカ人が最も大切にし、最も好むテーマーは「家族愛」です。この作品でもトム・ハンクスの存在はその1点に絞って演技していたように思います。その意味で、主演であるようで脇役の味付けのような存在のようでした。
 それではこの映画の主演は誰か?それは泣く子も黙る「ネイビーシールズUnited States Navy SEALs」だったのではないでしょうか。裸同然の出で立ちで、靴すらも履いていないソマリアの貧しい漁師が旧式のカラシニコフ自動小銃だけで海賊行為をし、アメリカ人船長を人質にしました。ある意味、アメリカ国内で起きているどでかい犯罪に比べれば極々ありふれた誘拐事件かもしれません。しかし、誰であろうがアメリカ人を誘拐したら、大統領命令で駆逐艦でも、ネイビーシールズまでも投入し徹底的に自国民を守る。これがアメリカの正義ということです。そして、この映画の主役は間違いなくネイビーシールズです。彼らがアメリカのヒーローであることを、ハリウッドは世界に向けて訴えているのです。
 そこには「特定秘密法」や「武器の使用基準」や「海外派兵」「領土領海主権」「国際法」「犯罪者の人権」などなど議論の余地がない世界があります。海賊やテロリストのターゲットは何もアメリカだけではありません。今年の1月アルゼリアで発生した日揮の日本人スタッフを含む 多数の人質籠城事件があります。ソマリア海域には日本の原油タンカーが数多く航行しています。これは「想定内」のことです。
日揮事件の時の多くの情報はイギリス内務省から提供されました。その情報の中にはイギリスが秘密にしておきたい情報もあったはずです。情報提供者が秘密にしておきたい内容が、情報を受けた側から漏れてしまえば、当然次から情報の提供は拒否されます。東京オリンピックの警備の最重要事項は「テロ対策」です。このテロ情報を入手しなければ対策も立てられない現実があります。
映画で興味があったのは現在の大型船舶に備えられている「救命艇」です。昔のようにデッキに手漕ぎボートが吊り下げてあるのではなく、鋼鉄製のシェルターのような頑丈な「脱出艇」です。どんな大波でも破損することがなく転覆しても自動的に復元でき、浸水しない構造になっているそうです。
東日本大震災以後、津波対策としてこの救難脱出艇が脚光を浴びています。高台まで避難でいない人たちがこの脱出艇に逃げ込めば兎に角津波から命は守れる可能性が大きいのです。是非実用化し普及して欲しいものです。




都々逸発祥の地は名古屋だがや。

2013年12月04日 | 歴史
4組の忘年会が難波の「月日亭」でありました。遠く名古屋から参加した近藤君が「都都逸」の名調子を披露しました。
「都都逸」は名古屋・宮の宿が発祥とされています。近藤君の都々逸は名古屋で発祥した当時の原型と思われる正に「正調」の節回しの本格的なものでした。
 当ブログも何回となく都々逸に触れましたが、都都逸発祥についてまとまって取り上げたことがありませんでした。当ブロガーはその昔、古謡・俗謡にのめり込み、随分と資料集めを行い、現地にも足繁く訪問したことがあります。その見聞・紀行を仲間に冊子として配布したことがあります。その冊子を紹介します。