馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

網走番外地の歌詞(その2)

2014年12月29日 | 映画
「網走番外地」の歌詞には2種類あります。一つは1965年テイチク盤で「春に 春に追われし 花も散る 酒(きす)ひけ酒ひけ 酒暮(きすぐ)れて どうせ俺らの行く先は その名も網走番外地」です。もう一つが1984年キング盤です。 このテイチク盤は、原詞:伊藤一、替え歌:タカオ・カンベ、採譜・編曲:山田栄一、唄:高倉 健で200万枚以上の大ヒットとなりました。しかし、 歌詞に「酒(きす)ひけ」など裏社会の隠語が使われているため、放送禁止になりました。そこで、1984年キング盤で「馬鹿を 馬鹿を承知の この稼業 赤い夕陽に背を向けて 無理に笑った 渡り鳥 その名も網走番外地」と作詞:矢野亮 採譜・編曲:八木正生で作り直して発売されました。

 原詞:伊藤一と言うものがどの様な歌であったのかに興味が湧きました。元歌の作詞者・伊藤一という人は、昭和20年代に実際に事件を起こして網走刑務所に収監された経験があるようです。その経験を元に「網走番外地」と言う小説を書いたようです。(随分と探したのですが実物は見つかりませんでした)そして、日活がこの小説を元に「網走番外地」と言う映画を松尾昭典監督、主演:小高雄二と浅丘ルリ子で映画化したそうです。(このフィルムも残っていないようです)その時、伊藤一は主題歌も作詞したようです。その歌詞は「馬か人か 人か馬か おいら懲役 雪のなか 雪はふるふる あさ、ひる、夜なか 網走の雪が 地獄の雪が」で、メロディーに乗せて歌うには中々難しい歌詞です。
 そしてもう1ツ、「網走番外地」の作曲者が記されておらず、採譜・編曲となっているのにも疑問を持ちました。網走番外地のあのメロディーは誰が作曲したのだろうか?いろいろと調べて行くと、足利龍之助が昭和初期に、やはり日活映画「レビューの踊子」の主題歌として作曲したようです。当時浅草オペラの大御所であった田谷力三などの歌手が歌ったようです。メロディーは網走番外地のそれよりも可也速いテンポであったようです。(田谷力三が吹き込んだレコードの音源は国立国会図書館にあるそうです)
 因みに足利龍之助は東京音楽学校教授橋本国彦のペンネームだそうです。橋本国彦は「城ヶ島の雨」「スキーの歌」他数多くの作品を残した人です。

(この項終わり)