馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

「馬欠場」は何処にある?=地名の話(7)

2009年09月03日 | 地名・地誌
珍名ランクを見ていましと「馬欠場」と云うのがあります。
「うまかけば」と読むそうです。
豊中に1家族がおられます。電話帳には搭載されていません。
馬欠場さんとお話しをする機会がありました。「電話帳には出ているのですが、字が間違っているのです」と云われました。NTTが馬欠場→駅場と見間違ったようです。
出身は和歌山県新宮市だそうです。彼に依りますと「馬欠場」姓はここだけだそうです。そして「馬欠場」を名乗ったのは、彼の一家だけだそうです。
インターネットで「馬欠場」を検索すると約200件出て来ますが、名簿一覧内を検索して拾ってきたようです。
名前の由来を聞いたら「在所の土地の名前」を苗字にしたそうです。何時頃から名乗ったのかは分かりませんが、明治維新の時ではないかと思う、との事でした。
 地名を名前にする或は有力者の名前を地名にする例は多くあります。
地名を負う名前は、圧倒的に多いので、この場合の「在所の土地の名前」を苗字にしたと云うのは事実でしょう。

「馬欠場」地名解
「欠け」の解釈がポイントです。いろいろの用例及び東牟婁の方言など調査結果から「欠け」=あくびをする。→のんびりとする。などと解釈するのが適当と思います。馬が休憩する場所と解釈しました。
高知県に「奈路」=なろ、「大奈路」と云う特徴的な地名があります。
四国山脈の急峻な地形にチョットした平坦な場所があります。そのような所を高知県では「奈路」と呼んでいたようです。
「馬欠場」も「奈路」と同じような熊野山地の山肌に坪庭のようにある平坦な所、荷駄馬などの休息地にしたのでしょう、そんな所を「馬欠場」と呼んだと想像します。そして地名として定着したのです。
http://www.geocities.jp/tatubou44/oujikumanokikou.html 
「馬欠場」は何処にあるの?
それでは、何処にあるのかと捜査を始めました。
先ず馬欠場さんの出所の新宮市の教えてもらったところに行きましたが、開発が進み大きな道路が付いており、元々の地形は無くなっていましたし、熊野川の氾濫原であり地形的に不適当な所でした。
http://www.geocities.jp/tatubou44/oujikumanokikou.html
地元の人から発心門王子か伏拝王子か祓戸王子あたりにそのような所があったと聞いたことがある、との情報を得て、いろいろ調べましたが、未だにここだ!と確定するまでには至っていません。
角川日本地名大辞典和歌山県の資料編に「小字」集が収録されていますが、何万件あるか数えたことがありませんが、その膨大な小字の中にも今のところ「馬欠場」を発見できません。
 最近は、地元での聞き取り調査が「差別」問題と誤解されて、なかなか難しくなっています。この「馬欠場」は、差別とは全く関係のない調査ですが、役場に行っても先ず詳しい情報が得られません。
「馬欠場」は何処にあるのでしょうか?熊野に行く度に探していますが・・・・
そんなことを20年近くやっています。
楽しいですよ。