四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

河野裕子さんを悼む(最終回)

2012-07-07 19:19:38 | 歌の花束

永田和宏氏の歌

 『もうすぐ夏至だ。冬至の日はうれしい。これからどんどん明るくなるのだと思うと、まだ真冬だというのに心が明るむ。夏至は嫌だ。あとは明るい時間がどんどん短くなってゆくばかり。』

○一日が過ぎれば一日減つてゆく

              君との時間 もうすぐ夏至だ

河野裕子さんの歌

●この家に君との時間はどれぐらゐ

              残っていゐるか梁よ答へよ

永田和宏氏

 『まだあと十年ぐらいは二人一緒に、老いてゆく時間を楽しむはずだった。すべての大切なものは、失って初めて身にしみてわかるものだ。己に残された時間も然り。』

 ○あほやなあと笑ひのけぞりまた笑う

              あなたの椅子にあなたがゐない

 ○わたくしは死んではいけないわたくしが

              死ぬときあなたがほんたうに死ぬ

 『死者は、生存者の記憶の中にしか生きられない。だからもっとも河野裕子を知っているものとして、長く生きていたいと思う。それが彼女を生かしておく唯一の方法なのだと思う。』

  (愛別離苦を耐えられた科学者、永田先生の言葉が心を打つ・・・駿

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