四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

万葉の情ある歌

2008-11-06 12:48:55 | 歌の花束
 万葉集は貴族だけでなく大衆の歌もあり、しかも素朴でなつかしい。
旅人の宿りせむ野に霜降らば我が子羽ぐくめ天の鶴群(たづむら)
 千年前命がけの遣唐使船が難波を離れる際に、我が子を見送った母の歌です。まさに水盃の別れだったでしょう。今は絶滅危惧の鶴がそこいらにいたんです。
一世にはふたたび見えぬ父母を置きてや長く我が別れなむ
 熊本から京へ上がる旅の途中、急病で十八才の命を終らんとしての歌。逆縁ほど辛いものはないでしょう。我が肉体は「仮和合(けわごう)」、借り物なんですね。
しろがねも金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも 
 山上憶良の有名な歌。拝金でなく子を宝とする健全な時代でした。安心して出産できる日本じゃないなんて、文明社会はどうなっているの。
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