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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

豊かな表現力の一端をになうもの

2008年05月08日 | 中学受験 合格力随想
♪卯の花の匂う垣根に ホトトギスはやも来鳴きて、忍び音もらす 夏は来ぬ

五月の初めといえばこんな季節でしょうか。私は近ごろ町中に引っ越しましたが、以前はチョットだけ郊外でしたので、朝は「ホーホケキョ」で目覚めることもありました。たしか三月になったばかりの頃から、三通りほどの「さえずり」を確認しています。見事に「ホーホケキョ」と鳴くことができる名人鳥くん、「ホーホケッ」の期待の新人鳥くん、「ケキョケキョ」のまだまだ修行鳥くん、そんなメンバーです。

万葉の時代から、卯の花(ウツギ)とホトトギスはひとつの季節、歌のなかに読まれてきたようです。最近の日本の気候は、どこかどげとげしくて人をはねつける様な気がしていましたが、まだまだ風流は残っているようです。

 「鳥は木に隠れるのではなくて、自然に隠れるものだ。」

これはある小学校6年生の生徒さんが、以前書いてくれた一文です。街の公園には緑がいっぱいなのに、ホトトギスが鳴かないと気がついたそうです。山の鳥は、ここには来ていないのだと思ったとき、すなおに思ったことを文にしたものでしょう。しかし、名言だと思いませんか? 私は感動しました。自然とはどのようなものか、感覚として気づかせてくれます。そして、この一文が深みのある言葉になるのには、もうひとつ理由があります。そのかたちです。

 「○○とは△△ではなく、□□なものである。」

これは「名言」をつくる公式のようなものです。たとえば、名言集にもある「家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである。」のようなものです。このとき、○○には、話題にしていることのキーワードを入れます。△△には、世間一般にふつうに考えられているようなことを入れます。そうして□□には、自分なりにひねりをきかせた意見を入れてみます。すると、名言ができるというわけです。皆さんもこの公式を使ってみごとな名言を創られてはいかがですか。きっと文中での小気味のいいスパイスになることでしょう。

この「自作名言」がすらすらできるようになるための準備として、「たとえの表現(的確な比喩の選定)」があり、さらに「ことわざの引用」があります。いきなり最終目標にジャンプしたのでは、文章の中味がついていけません。ホップ ステップ ジャンプで、すばらしい文章ができるように進んでいくのです。

したがって、小学生は文章を書くときに、ひとつでも「まるで・・・のような」を文中に入れる工夫をしてみることも必要です。最初はむずかしいと感じるかもしれませんから、そんなときは保護者の方が、いろいろな出来事を思い出して表現する「まるで…のような…」ゲームを提言してみるのも一つの方法かもしれません。「たとえる力」「言い換える力」が、豊かな文章の底流になっていることは間違いいないのですから。


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