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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

生き残る珠玉の言葉

2008年04月12日 | 中学受験 合格力随想
この前、電車に乗っていたときのことです。隣の席で女子高生が、おしゃべりしていました。聞くともなく聞いていると、こんな会話が耳にとびこんできました。

「なにーこれー、ギガかわゆす~」
「ほんとー、チョーやばいよね~」

思わずのぞきこむと、二人はかわいい犬の写真を見ています。どうやら、「ギガかわゆす」というのは「とってもかわいい」ということ。「チョーやばいよね~」というのは、「危険なくらいに、すばらしい」という意味らしいのです。

私は女子高生ではないので、ふだんはこういう言葉は使いません。でも、お子さんを相手の仕事をしているので新しい言葉にもそれなりに興味があります。そんなわけで、塾に帰ると、さっそくパソコンで現代の若者言葉や、はやり言葉について調べてみました。 するとまあ、出るわ出るわ。 

 オケる……カラオケに行く。
 おっさん……「おつかれさん」の略。
 KY(ケーワイ)……空気よめない、の略
 プリコ……プリクラ交換。
 キレカワ……キレイ+カワイイ
 がっつり……「がっちり」の変形で、「きっちり」「しっかり」と同じ。
 どん引き……かなり引かれること。もり下がること。…等々、諸々、諤々。

ちょっと前にはなかった言葉でいっぱいです。特に、KYなどのイニシャル語は事典まであるとのこと。私は、こういう言葉達を見て、「なんだ、こんなのは日本語の乱れだ。けしからーん」とおじさんなのにおじさんのようなことを言うつもりは全くありません。言葉、というのは日々新しく生まれ、変化していくものと考えるからです。

もし、言葉が変化してはいけないものなら、わたしたちは大昔の言葉を使わなければなりません。たとえば、平安時代には、「ギガかわゆす」つまり「とってもかわいい」のことを「いと、うつくし」と言いました。うつくしはも、昔は「美しい」ではなくて、「かわいい」という意味だったからです。これを現代で使ったら、それこそ、「ドン引き」されることでしょう。

ただ、こういう新しい言葉を文章に使うこと、それだけは「ちょっと、待って!」と言いたいのです。なぜならこれらの新しい言葉は、いつ無くなっていくかわからないからです。たとえば、少し前まで使われていた、「ナウい」と言う言葉、今では、私たちおじさんしか使いません。フィーバー(もりあがること)や「チョベリグ」(超ベリーグッド)なんて言葉も、いつのまにか消えました。

文章というのは何年たっても残っているものですし、いろんな人に読んでもらうものです。ですから、いつ消えるかわからない言葉や、一部の人にしか通じない言葉は使わない方がいいと思うのです。ニュースを読むアナウンサーは「今日、上野動物園でチョーかわいいパンダの赤ちゃんが産まれました」とは言いません。新聞の見出しに「ギガかわゆす! パンダの赤ちゃん誕生」などとも書かれません。

新しい言葉が、長い年月を生き残り、あらゆる人に通じるようになれば、それはもう、一人前の言葉です。「うつくし」という言葉が「かわいい」という言葉に変わったのが、その例。でも、それをきちんと見届けるまでは、お友だち同士の会話には使っても、文章には使わない心の余裕が欲しいものです。


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