ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

咀嚼…その1

2010年02月11日 | 中学受験 行雲流水録
食べ物は、咀嚼すると消化しやすくなります。たとえば、肉を食べると、たんぱく質からアミノ酸へと分解されていきます。よくかむことによってサイズが小さくなり、酵素が働きやすくなることによって分解されていきます。食べ物は、分解されて初めて自分の体内に吸収されます。

文章も同じです。咀嚼する(よく読む)ことによって、表面上の言葉の理解からより深い理解に進んでいきます。表面上の理解とは、概要を理解して、それを自分の生活に役立たせるような理解の仕方です。文章を読んで理解して、そこに書かれている内容を自分のアクションに結びつければ、それでその文章の役割は終わります。これを使い切りの文章と言ってもいいかもしれません。私たちが通常読む文章は、ほとんどこういう読み方です。

これに対して、何度も繰り返し読む文章では、それぞれの言葉の背後にある、言葉の持つ文化も含めて理解できるようになります。たとえば、「出口のないトンネルはない」という言葉があります。これを何度も反復して読んでいると、出口にもいろいろな出口があるということが思い浮かんできます。また、トンネルにもいろいろなトンネルがあるということが感じられてきます。さまざまな出口とさまざまなトンネルがあるということが、自分の経験や社会の文化の蓄積から、豊富な枝葉を伴って理解されてくるということです。

このような理解の仕方をすると、文章が生きた言葉となり、自分の血や肉となって吸収されていきます。ところが、このように何度も繰り返して読む深い理解の仕方の学習は、なかなか続けることができません。なぜかというと、音読や暗唱そのものが自己目的化しているような学習の仕方では、その単純な学習に飽きてくるからです。

では、飽きさせないためにはどうしたらいいのか。その変化をつける意味でも、私は音読をお勧めしています。そして、必ず誰か聴き手がいて褒めてあげることをセットにしていただくようお願いしています。さらに、その次に文章化できれば、音読によって内容の骨子が整理されていて、頭がよくなっていくことが実感できるはずです。


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