今回の「大学対抗箱根駅伝」は見どころ満載の、しかも古豪である駒澤大学が3分以上の差を覆し、逆転の走りを見せて、総合優勝を飾ったのである。それまで、ずっと1位で走ってきた創価大学を、最後の10区の残り3キロという位置で駒澤大学が抜き去り、13年ぶりの総合優勝決めた。この逆転劇には感銘した。3分以上の差を最終区でつけていたので、これは完全に創価大学の初優勝(初の総合優勝)かと思っていた。誰もがそれを疑わなかった。しかし、である。
人生と同様、確定することはないのであるなと感じいった。どんなに差があろうとも、諦めた瞬間に負けは決まってしまう。駒澤大学は、ここ数年勝利から遠ざかっていたのも事実。今回も勝てないだろうと、大方の見方であったが、最後の最後まで諦めない、力強い走りを積み重ねたことが、今回の逆転劇を生んだのである。「決まったことは無いのである」。このことを強く感じいった「箱根駅伝」であった。
【記事】
◇第97回東京箱根間往復大学駅伝競走復路 (3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ) 。 学生3大駅伝単独最多22勝を誇る駒大が、10区で3分19秒差を逆転して13年ぶり7度目の優勝を果たした。出場わずか4回目ながら初優勝を目指した創価大のアンカー小野寺勇樹(3年)を駒大・石川拓慎(3年)が残り2・1キロ付近で逆転した。 序盤から攻めの走りを続けた駒大の石川。ペースの上がらない創価大との差をじりじり詰めると、残り2・1キロ付近でとらえ、一気にスパート。3分19秒、距離にして約1キロ以上あった差をひっくり返した。監督車に乗っていた大八木弘明監督も「やったね! お前は男だ!」とねぎらった。 往路を1位創価大と2分21秒差の3位で終えた駒大。6区花崎悠紀(3年)が区間賞の走りを見せたが、区間上位で走り続けるトップの背中をなかなかつかめなかった。万事休すと思われたが、最終10区での大逆転が待っていた。 創価大は初期の1~3回大会を除くと、5度目の出場だった1926年の第7回大会で初優勝した中大を超えるスピード優勝を目指したが、史上18校目の箱根路の覇者とはなれなかった。 大会を主催する関東学生陸上競技連盟は新型コロナウイルス感染防止対策として、駅伝ファンに「観戦や応援目的での外出はお控えください」というメッセージを発信。例年、スタートの大手町は早朝から大観衆が詰めかけるが、この日は人影まばら。普段とは違う雰囲気の中、駒大が栄光のゴールを迎えた。
一人の道 茶木みやこ(元ピンク・ピクルス)