赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

中国の脅威に対するリアルな台湾人の反応

2023-08-28 00:00:00 | 政治見解



中国の脅威に対するリアルな台湾人の反応:230828情報

8月19日、中国軍は台湾周辺で軍事演習を開始した日、中国がまた台湾付近で軍事演習を行いました。今回の演習は、台湾の次期総統候補、頼清徳(らいせいとく)氏が南米パラグアイに渡った際、アメリカに立ち寄ったことに対して猛反発したもので、中国は「“台湾独立派”とアメリカの挑発に対する重大な警告だ」と主張しています。

以前にも大規模軍事演習が行われるなど、中国の脅威が常に身近にある台湾。台湾社会がパニックになることも珍しくないんだろうな、と私は想像していました。しかし、台湾の皆さんは、想像よりもずっと冷静にドシっと構えているようなのです。

その様子を台湾独立運動家の方に「中国の脅威に対するリアルな台湾人の反応」を語っていただきました。



◼️ウクライナ侵攻前に酷似…中国の圧力

昨年8月、アメリカのペロシ氏が台湾を訪問した際、中国はかつてないほどの大規模軍事演習を行いました。その際、中国は「軍事演習はこれで終わりではない。これからも継続して行う。」と発表。これは、小国・台湾に圧力をかけ続ければ、台湾の軍は疲弊してお手上げになるだろうという“消耗作戦”的な意味があるのでは、とも考えられるわけです。

そんなふうに度々、軍事演習で圧力をかけてくる中国ですが、台湾人はこの中国の演習についてどのように思っているのか。台湾に近いギリギリのところでの軍事演習。これは、戦争の一歩手前のような状態です。

しかも、中国は演習とほぼ同時にサイバーテロも行いました。被害に遭ったのは総統府、外交部、国防部、鉄道など、重要な機関ばかり。この状況は、ロシアがウクライナに侵攻する前の状況とそっくりなのです。


◼️いたって冷静な台湾人

本来そのような状況になったら、パニックになったり、株価暴落になったりしても不思議ではありません。しかし、蓋を開けてみると台湾人はいたって冷静なんです。11発のミサイルが打ち上げられ数発が台湾上空を通過した昨年8月4日も、台湾の街中は人混み、株価は大幅に上昇しました。

その直後に行われた世論調査でも、台湾人の6割が「心配していない」と回答したのです。


◼️台湾人が冷静な3つの理由

一体なぜ、軍事演習に対して台湾人はここまで冷静なのか? 台湾人が中国の脅威に麻痺しているわけでも、無関心なわけでもありません。関心を持ちながらも冷静でいられる理由は主に3つあります。

1つ目は“台湾軍への信頼”です。現在の蔡英文総統は軍事に最も力を入れました。そのことへの信頼が冷静さにつながっているのです。

2つ目は“台湾人の覚悟”です。台湾は戦後70年間ずっと中国の脅威に晒されてきました。軍事専門家が詳しく分析した中国軍の動きが毎日報道され、日常のレストランや美容室でも普通にそれが話題になるくらい、脅威をそばに感じ、当事者意識を持っているのです。「中国の侵略はいつかやってくるもの」、そのように考えて覚悟を決め、備えているからこそ冷静でいられるのです。

そして3つ目は“仲間”です。台湾人は昨年8月に行われた軍事演習で初めて「仲間が身近にいる」と感じるようになりました。それは、ペロシ氏の訪台がきっかけで行われた軍事演習だったからです。それまで、台湾は中国にいじめられる孤独な戦いをしていましたが、今回からは、アメリカという当事者が増えたわけです。

そして、アメリカが当事者になったことで日本も含む全世界の民主国家が台湾の肩を持つようになったのです。このような「仲間がいる」という経験は台湾にとって初めてのこと。これが自信に繋がったのです。

以上の3点が、台湾が自信を持つことができた理由です。そして、その自信があったからこそ台湾人は冷静でいられたわけです。台湾の危機はこれからも数多く発生するでしょう。それらに対しても、台湾人は冷静に対応していくはずです。



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