ノーベル賞学者が見る中国の未来 :230807情報
中国の未来について、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンの意見を引用しながら解説する方がいましたので、引用させていただきます。
私は、2005年出版の「ボロボロになった覇権国家アメリカ」で、こんな予測をしていました。
・2008~2010年に危機が起こる。
・しかし、中国は危機を短期間で克服する。
・中国の高成長は、2020年まで。
実際に2008年に危機が起こり、中国は速やかに乗り切りました。そして、概ね2020年まで高成長をつづけたのです。
なぜ18年前に私は、中国経済が「こうなること」を予測できたのでしょうか? それは「国家ライフサイクル」で見たのです。
国家ライフサイクルには、
・前の体制からの移行期(=混乱期)
・成長期(前期と後期がある)
・成熟期
・衰退期
があります。
日本は、1950年から成長期に入り、1990年までつづきました。その後バブルが崩壊し、成熟期、低成長の時代がつづいています。中国は、ざっくり1980年から成長期に突入しています。つまり、中国は「30年遅れて日本の後を追っている」のです。
検証してみましょう。
日本1950年代 = 成長期に突入
中国1980年代 = 成長期に突入
日本1960年代 = 安かろう悪かろうで急成長
中国1990年代 = 安かろう悪かろうで急成長
日本1970年代 = 世界の工場に
中国2000年代 = 世界の工場に
日本1980年代 = 「ジャパンアズナンバー1」「日本はアメリカを超える」と誰もが思い始める
中国2010年代 = 「中国はアメリカを超える」と世界のほとんどの人が考え始める
というわけで中国は、まさに「ぴったり30年遅れで、日本の後を追っている」ことがわかります。
問題は、次です。
日本1990年代 = 「暗黒時代」に突入
そうなると、
中国2020年代 = 「暗黒時代」に突入
ということになります。
これが、私が18年前に見た、「中国経済の未来」でした。そして、実際にそうなっているのです。
(もちろんここでは、「骨子」だけを話しています。実際の分析は、もっと複雑です。)
初めての本から18年経ち、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンが、日本経済と中国経済を比較しています。中国経済は、90年代の日本のように「暗黒時代」に突入するのでしょうか?
ビジネスインサイダージャパン 8月2日を見てみましょう。
〈中国経済は減速に向かっていると、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは考えている。クルーグマンは、中国と90年代に経済が衰退した日本との類似点を指摘する。人口動態に強い逆風が吹いていることから、中国の将来はさらに悪化する可能性が高い。
中国経済は大きな減速に向かっていると、ノーベル賞受賞経済学者のポール・クルーグマン(Paul Krugman)は考えている。彼は、2023年に入ってからの期待外れな中国の経済パフォーマンスを、日本の経済力が衰退し始めた90年代の経済的苦境と比較した。
クルーグマンは2023年7月25日に公開されたニューヨーク・タイムズへの寄稿文にこう記している。
「中国は最近失速しているように見えることから、将来的に日本のような道を歩むのではないかと言う人もいる。それに対する私の答えは『おそらくそうはならない。中国はもっと悪くなるだろう』だ」〉
中国は90年代の日本より、「もっと悪くなる」とノーベル賞学者クルーグマンさんがいっています。中国は、世界の覇権を取れないまま、衰退しはじめることでしょう。そしてアメリカも、20世紀に前覇権国家イギリスが衰退したように、21世紀を通じて影響力を落としていきます。
これからは、中国ではなくインドの時代になっていくでしょう。
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